70歳以上の低リスク早期乳がん患者の乳房温存手術後の治療を、放射線療法(RT)と内分泌療法(ET)で比較した第III相無作為化比較試験(EUROPA試験)の中間解析において、RTがETより2年健康関連QOLが良好で治療関連有害事象の発現率が低かったことを、イタリア・フィレンツェ大学のIcro Meattini氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2024、12月10~13日)で発表した。
・対象:70歳以上のLuminal-like早期乳がん(ER/PR≧10%、HER2陰性、pT1pN0もしくはcN0、Ki-67≦20%)で乳房温存手術を受けた女性
・RT群:寡分割照射による全乳房照射もしくは乳房部分照射
・ET群:アロマターゼ阻害薬もしくはタモキシフェンを5~10年間投与
・評価項目:
[主要評価項目]5年同側乳房内再発(IBTR)率、EORTC QLQ-C30のglobal health status(GHS)スコアによる2年健康関連QOL
[副次評価項目]局所再発(LRR)、乳がん特異的生存期間、全生存期間、対側乳がん(CBC)、有害事象、QLQ-C30/BR45モジュールドメインにおける健康関連QOL
健康関連QOLの中間解析は、2年健康関連QOL評価に152例が到達した時点で実施することが事前に計画されていた。今回は、その中間解析結果が報告された。
主な結果は以下のとおり。
・2021年2月~2024年6月に734例が登録され、731例がRT群(365例)またはET群(366例)に無作為に割り付けられた。今回の中間解析では、RT群104例、ET群103例が解析対象で、年齢(70~79歳/80歳以上)およびG8スコア(14以下/14超)の分布は両群でほぼ同じであった。
・QLQ-C30 GHSスコアのベースライン時から24ヵ月目の変化の平均は、RT群では-1.1(SD:18.8)、ET群では-10.0(SD:25.8)であった。年齢およびG8スコア調整後のGHSスコアの最小二乗平均の変化はRT群が-3.40、ET群で-9.79で、RT群がET群より6.39(p=0.045)小さかった。
・QLQ-C30のほとんどの機能ドメインおよび症状尺度の変化において、RT群のほうが良好な結果を示した。
・QLQ-BR45の機能ドメインの変化は有意な差はなかったが、ほとんどの症状尺度の変化はRT群のほうが良好な結果を示した。
・IBTR、LRRは両群とも報告されず、CBCはRT群で2例(1.9%)、ET群で1例(1%)にみられた。RT群で4例(3.8%)、ET群で2例(1.9%)が死亡したが、いずれも乳がん関連ではなかった。
・治療関連有害事象はRT群で65例(67.0%)、ET群で76例(85.4%)に発現した。
本試験の患者登録およびフォローアップは継続しており、最終解析にはIBTR率と長期転帰が含まれる予定。Icro Meattini氏は「RTもしくはETは単独で実施できる治療オプションの可能性があり、集学的かつ患者中心の個別化治療における必要性を強調している」とまとめた。
(ケアネット 金沢 浩子)