悪性黒色腫、深達度0.8mm以上で関連死リスク上昇

提供元:ケアネット

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公開日:2025/01/08

 

 原発腫瘍深達度(Breslow厚)1mm以下の悪性黒色腫による死亡リスクは、Breslow厚0.8~1.0mmの患者が同0.8mm未満の患者と比較して有意に高かったことが、オーストラリア・シドニー大学のSerigne N. Lo氏らによるレジストリコホート研究で示された。なお、悪性黒色腫以外による死亡リスクは同等であった。原発性皮膚悪性黒色腫を有する多くの患者は、腫瘍の厚さが薄く(1.0mm以下、すなわちpT1aおよびpT1b)、一般的に予後は良好と考えられているものの、1.0mm以下の腫瘍深達度と死亡リスクの関連についての明確な情報は限られていた。著者は、「今回の解析結果から、悪性黒色腫AJCC病期分類の改訂時にT1の閾値を1.0mmから0.8mmに変更することを考慮すべきであることが示唆された」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2024年12月11日号掲載の報告。

 研究グループは、1982~2014年に浸潤性原発性皮膚悪性黒色腫と診断されたすべてのオーストラリア人のレジストリデータを解析し、悪性黒色腫による死亡率と悪性黒色腫以外による死亡率に関して、腫瘍深達度0.8mmを閾値として2群に分類して評価した。

 データは、オーストラリアの8つの州および準州の住民ベースがんレジストリから抽出。データおよび死因は国家死亡統計(Australian National Death Index)から入手し、原発腫瘍深達度1.0mm以下の浸潤性原発性皮膚悪性黒色腫の初回診断成人を対象とした。

 主要アウトカムは、悪性黒色腫による死亡と悪性黒色腫以外による死亡。競合リスク回帰分析と死因別解析を行い、腫瘍深達度別(0.8mm未満vs.0.8~1.0mm)に主要アウトカムを評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・全体の被験者コホートは14万4,447例であった。年齢中央値56歳(範囲:18~101)、男性が7万8,014例(54.0%)。追跡期間中央値は15.0年(四分位範囲:9.5~23.3)。
・診断後20年の悪性黒色腫による粗死亡率は、全コホート6.3%(95%信頼区間[CI]:6.1~6.5)、0.8mm未満群6.0%(5.7~6.2)、0.8~1.0mm群12.0%(11.4~12.6)であった。
・診断後20年の悪性黒色腫特異的生存率は、全コホート91.9%(95%CI:91.6~92.1)、0.8mm未満群94.2%(94.0~94.4)、0.8~1.0mm群87.8%(87.3~88.3)であった。
・多変量解析で、0.8~1.0mm群は0.8mm未満群と比較して、悪性黒色腫による死亡の絶対リスク(部分分布ハザード比[HR]:2.92、95%CI:2.74~3.12)および悪性黒色腫による死亡率(HR:2.98、95%CI:2.79~3.18)が有意に高かった。
・悪性黒色腫以外による死亡リスクに、腫瘍深達度による違いはみられなかった(HR:0.99、95%CI:0.92~1.04)。

(ケアネット)