高腫瘍量濾胞性リンパ腫1次治療に対するモスネツズマブ皮下注の評価(MITHIC-FL1)/ASH2024

提供元:ケアネット

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公開日:2025/01/15

 

 高腫瘍量濾胞性リンパ腫(HTB-FL)の1次治療に対する、CD20/CD3二重特異性抗体モスネツズマブ皮下注射の多施設第II相試験の結果が第66回米国血液学会(ASH2024)で発表された。

 初発進行期のHTB-FLでは、抗CD20抗体併用化学療法が行われる。一方、近年の研究で、FLは深い免疫抑制状態を特徴とし、腫瘍内のT細胞の機能不全が臨床経過に影響するとの報告もある1)。そのような中、CD3陽性T細胞に、CD20陽性FL細胞を認識させ排除させるCD20/CD3二重特異性抗体が、FL治療の鍵を握る選択肢2)として期待される。

・試験デザイン:第II相多施設試験
・対象:未治療のCD20陽性Stege II~IVのHTB-FL(Grade1~3A)
GELF規準により治療が必要とされる患者
・介入:mosunetuzumab 21日サイクル(1サイクル目:day1に5mg、day8、15に45mg、2~8サイクル:45mg)→完全奏効(CR)症例:経過観察、部分奏効症例:45mgを17サイクルまで継続投与、PR未満症例:試験中止
・評価項目
【主要評価項目】CR割合(Lugano分類による効果判定)
【副次評価項目】奏効割合(ORR)、安全性、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)など

 主な結果は以下のとおり。

・2022年6月~2024年7月に78例が登録された。
・カットオフ(2024年11月1日)時点の追跡期間中央値は13.3ヵ月。
・有効性評価対象76例のORRは96%で、CR割合は80%であった。86%(65例)の患者が最小でも80%の腫瘍量減少を示した。
・12ヵ月推定PFS割合は91%であった。
・12ヵ月CR割合は90%であった。
・12ヵ月推定OS割合は99%であった。
・頻度の多い(≧20%)治療中発現有害事象(TEAE)は、注射部位反応(70%)、感染症(56%)、サイトカイン放出症候群(CRS)(54%)、発疹、皮膚乾燥などであった。
・CRSを発現した症例は42例、そのうち40例はGrade1、残りの2例はGrade2だった。CRSの48%が1サイクルのday1に発現していた。
・免疫細胞関連神経毒性症候群(ICANS)、腫瘍崩壊症候群は認められなかった。

(ケアネット 細田 雅之)