ナトリウム(Na)は、食塩そのものや高塩分食品の高血圧による心血管系疾患(CVD)や消化管がんへの影響を介して、非感染性疾患(NCD)リスクを高めると考えられている。 また、CVDの相対リスクはNa摂取量単独よりもNa摂取量/カリウム(K)摂取量(Na/K比)と密接に関連していると報告されているが、これらがNCDによる早期死亡リスクに及ぼす影響を調べた研究はほとんどない。今回、奈良女子大学の高地 リベカ氏らが前向きコホート研究であるJPHC研究で検討した結果、Na摂取量とNa/K比の両方が、中年男性における全死亡およびNCDによる早期死亡リスク上昇と関連し、さらにNa/K比はがん死亡とも関連していることが示された。The Journal of Nutrition誌オンライン版2024年12月27日号に掲載。
本研究では、1995~98年に11地域で45~74歳の男女8万3,048人を対象に食物摂取頻度調査票を実施した。2018年末までの158万7,901人年の追跡期間中、全死亡1万7,727人、NCD早期死亡3,555人が同定された。
主な結果は以下のとおり。
・男性において、Na摂取量の多さは全死亡およびNCD早期死亡のリスク上昇と有意に関連していたが、全NCD死亡とは関連していなかった。最低五分位に対する最高五分位の多変量ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)は以下のとおり。
- 全死亡のHR:1.11(95%CI:1.03~1.20、傾向のp<0.01)
- NCD早期死亡のHR:1.25(95%CI:1.06~1.47、傾向のp<0.01)
・Na/K比におけるHRは以下のとおりで、がん死亡との関連を含め男性のほうが関連が強かった。
- 全死亡のHR:1.19(95%CI:1.11~1.27、傾向のp<0.01)
- NCD早期死亡のHR:1.27(95%CI:1.10~1.46、傾向のp<0.01)
- がん死亡のHR:1.18(95%CI:1.07~1.31、傾向のp=0.02)
(ケアネット 金沢 浩子)