卵の摂取量と70歳以上の高齢者の全死因死亡および死因別死亡との関連性を前向きに調査した結果、卵をまったく/まれにしか摂取しない群に比べて、週に1~6回摂取する群では全死因死亡および心血管疾患(CVD)死亡のリスクが低減したが、毎日摂取する群ではこの潜在的な有益性は認められなかったことを、オーストラリア・モナッシュ大学のHolly Wild氏らが明らかにした。Nutrients誌2025年1月17日号掲載の報告。
卵摂取と健康との関係は広く研究されているが、その結果はしばしば矛盾しており、さらに65歳以上の高齢者におけるエビデンスは限られている。卵にはタンパク質のほか、ビタミンやミネラルなども豊富に含まれており、高齢者の重要な栄養供給源であることから、研究グループは卵摂取と高齢者の死亡との関連性を評価するために前向きコホート研究を実施した。
本研究では、オーストラリア居住者を対象とした高齢化に関する縦断コホート研究「ALSOP試験」の参加者である70歳以上の8,756例のデータを用いた。過去1年間の卵の摂取量を食物摂取頻度調査(FFQ)で聴取し、「まったく摂取しない/まれに摂取(月に0~2回)」、「毎週摂取(週に1~6回)」、「毎日摂取(毎日~1日に数回)」の3つのカテゴリーで解析した。卵摂取と死亡との関連をCox比例ハザード回帰分析により評価した。
主な結果は以下のとおり。
●解析対象8,756例の年齢中央値は76.9±5.5歳、女性が54.0%であった。卵を毎日摂取していたのは2.6%、毎週摂取していたのは73.2%、まったく/まれにしか摂取していなかったのは24.2%であった。
●追跡期間中央値5.9年で1,034例の全死因死亡(11.8%)が記録された。がん死亡は453例(5.2%)、CVD死亡は292例(3.3%)であった。
●卵を毎週摂取する群では、まったく/まれにしか摂取しない群と比較して、全死因死亡リスクが15%低く、CVD死亡リスクが29%低かった。がん死亡では有意な関連は認められなかった。ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)は以下のとおり。
-全死因死亡のHR:0.85、95%CI:0.74~0.98
-CVD死亡のHR:0.71、95%CI:0.54~0.91
-がん死亡のHR:0.93、95%CI:0.76~1.16
●卵を毎日摂取する群では、まったく/まれにしか摂取しない群よりもいずれのリスクも高い傾向にあったが、有意な関連は認められなかった。
-全死因死亡のHR:1.20、95%CI:0.85~1.71
-CVD死亡のHR:1.43、95%CI:0.79~2.58
-がん死亡のHR:1.36、95%CI:0.82~2.27
研究グループは「これらの知見は、高齢者のためのエビデンスに基づいた食事ガイドラインの作成に有益であると考えられるが、関連性の根底にあるメカニズムをより理解するためにはさらなる縦断的研究が必要である」とまとめた。
(ケアネット 森)