ペルツズマブ治療歴のある、HER2陽性局所進行/転移乳がんに対し、ペルツズマブ再投与(ペルツズマブ+トラスツズマブ+主治医選択による化学療法)はトラスツズマブ+主治医選択による化学療法と比較して治験責任医師評価による無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したことが、第III相PRECIOUS試験の主要解析結果として報告されている。今回、熊本大学の山本 豊氏らは、同試験の全生存期間(OS)の最終解析結果をJournal of Clinical Oncology誌オンライン版2025年1月24日号で報告した。
PRECIOUS試験では、局所進行/転移乳がんに対する1次または2次治療としてペルツズマブを含む治療歴を有する患者を、ペルツズマブ再投与群(PTC群)とトラスツズマブ+主治医選択による化学療法群(TC群)に1:1の割合で無作為に割り付けた(PTC群110例、TC群109例)。主要評価項目は治験責任医師評価によるPFS、重要な副次評価項目はOS、独立中央評価によるPFSであった。
主な結果は以下のとおり。
・追跡期間中央値25.8ヵ月において、PTC群ではTC群と比較してOS中央値を延長した(36.2ヵ月vs.26.5ヵ月、ハザード比[HR]:0.73、片側95%信頼区間[CI]上限:0.97)。
・治験責任医師評価によるPFS中央値のアップデート解析結果についても、PTC群で良好であった(5.5ヵ月vs.4.2ヵ月、HR:0.81、片側95%CI上限:1.02)。
・独立中央評価によるPFS中央値については、両群間で差はみられなかった(4.4ヵ月vs. 4.4ヵ月、HR:1.03、片側95%CI上限:1.36)。
著者らは、ペルツズマブ+トラスツズマブによる二重HER2阻害療法が、ペルツズマブを含むレジメンによる治療歴を有するHER2陽性局所進行/転移乳がん患者においてOS改善に寄与する可能性が示唆されたと結論付けている。独立中央評価によるPFS中央値の改善が認められなかったことについては、解析対象集団やPFSイベントの評価方法の違いによる影響を指摘している。
(ケアネット 遊佐 なつみ)