コーヒーを飲むなら朝が良い?/Eur Heart J

提供元:ケアネット

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公開日:2025/01/15

 

 コーヒーの適度な摂取は、全死亡や心血管疾患などのリスク低下と関連することが報告されている。しかし、摂取のタイミングの影響は明らかになっていない。そこで、米国・テュレーン大学のXuan Wang氏らの研究グループは、コーヒーを摂取する時間帯(朝、終日)と全死亡および原因別死亡リスクとの関連を検討した。その結果、朝のコーヒー摂取が全死亡および心血管死のリスク低下と関連したが、終日にわたってコーヒーを摂取する場合はその関連はみられなかった。本研究結果は、European Heart Journal誌オンライン版2025年1月8日号で報告された。

 本研究は、米国の国民健康栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey:NHANES)に参加した18歳以上の4万725例を対象とした。参加者の24時間食事記録に基づき、コーヒー摂取の有無やタイミングで、非摂取群、朝型群(主に午前中に摂取)、終日群(朝から夜まで摂取)の3群に分類した。さらに、朝型群と終日群は摂取量(1日当たり1杯以下、1杯超2杯以下、2杯超3杯以下、3杯超)でも分類した。

 主な結果は以下のとおり。

・非摂取群は1万9,593例、朝型群は1万4,643例、終日群は6,489例であった。
・追跡期間(中央値9.8年)中に、全死亡が4,295例、心血管死が1,268例、がん死亡が934例に発生した。
・多変量解析の結果、朝型群は非摂取群と比較して全死亡(ハザード比[HR]:0.84、95%信頼区間[CI]:0.74~0.95)および心血管死(同:0.69、0.55~0.87)のリスクが有意に低下した。終日群ではこれらのリスク低下は認められなかった。
・がん死亡リスクについては、朝型群と終日群のいずれの群でもリスク低下は認められなかった。
・朝型群ではコーヒー摂取量の増加に伴って全死亡、心血管死のリスクが低下したが(いずれもp for linearity<0.001)、終日群ではコーヒー摂取量との関連はみられなかった。
・非摂取群を対照した場合の朝型群、終日群のコーヒー摂取量別にみた全死亡のHR(95%CI)は以下のとおりであった。
 【1杯以下】朝型群:0.85(0.71~1.01) 終日群:0.85(0.61~1.20)
 【1杯超2杯以下】朝型群:0.84(0.73~0.96) 終日群:0.93(0.77~1.12)
 【2杯超3杯以下】朝型群:0.71(0.60~0.86) 終日群:0.99(0.81~1.22)
 【3杯超】朝型群:0.79(0.65~0.96) 終日群:0.85(0.71~1.02)

 本研究結果について、著者らは「コーヒー摂取のタイミングは、コーヒー摂取量にかかわらず全死亡リスクや心血管死リスクと関連することが示された。とくに、朝にコーヒーを摂取することが、全死亡リスクの低下に強く関連していることが示唆される」とまとめた。

(ケアネット 佐藤 亮)