統合失調症治療では、感情的、身体的、社会的、認知機能的な領域にわたる健康的な生活への関与と関連する因子の向上が重要である。カナダ・カルガリー大学のZahinoor Ismail氏らは、統合失調症患者の健康的な生活への関与に対するブレクスピプラゾールの短期的および長期的な影響を評価するため、臨床試験データの事後分析を行った。Current Medical Research and Opinion誌オンライン版2025年1月3日号の報告。
成人統合失調症患者に対するブレクスピプラゾールの有効性および安全性を評価した臨床試験のデータを分析した。臨床試験には、6週間のランダム化二重盲検プラセボ対照試験3件(1,385例)、52週間の非盲検延長試験2件(408例)を含めた。患者の生活への関与は、妥当性が証明されている陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)の14のサブセットを用いて測定した(スコア範囲:最高14〜最低98)。平均スコアの変化および治療反応率(臨床的に重要な最小差異推定値5ポイント以上および10ポイント以上)を算出した。
主な結果は以下のとおり。
・ベースラインから6週目までの患者の生活への関与において、ブレクスピプラゾール群(2〜4mg/日)は、プラセボ群と比較し、より大きな改善が認められた(95%信頼区間:−3.57〜−1.58、p<0.001、エフェクトサイズCohen's d:0.28)。
【ブレクスピプラゾール群】最小二乗平均差変化:−8.3±0.3(868例)
【プラセボ群】最小二乗平均差変化:−5.7±0.4(517例)
・これらの改善は、ブレクスピプラゾール1〜4mg/日の58週間投与においても、維持された(399例)。
・6週目における治療反応率は、5ポイント以上の改善ではブレクスピプラゾール群71.6%、プラセボ群58.0%(p<0.001)、10ポイント以上の改善ではブレクスピプラゾール群43.5%、プラセボ群32.8%(p<0.001)であった。
・58週目(179例)におけるブレクスピプラゾール群の治療反応率は、5ポイント以上の改善で90.5%、10ポイント以上の改善で78.2%であった。
著者らは「統合失調症に対するブレクスピプラゾール治療は、精神症状の改善だけでなく、重要なアウトカムである患者の生活への関与を改善する可能性を秘めていることが明らかとなった」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)