脳卒中後の回復の鍵は運動

提供元:HealthDay News

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公開日:2023/06/12

 

 脳卒中後の回復には、運動が重要である可能性を示すデータが報告された。脳卒中発症後の6カ月間に運動量を増やして継続していた患者は、そうでない患者よりも機能的転帰が良好だったという。ヨーテボリ大学(スウェーデン)のDongni Buvarp氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に5月1日掲載された。同氏は、「脳卒中の重症度にかかわりなく、運動量を増やすことでメリットを得ることができる」と話している。

 この研究は、2014年10月~2019年6月に、スウェーデンの35の医療機関が参加して実施された、抗うつ薬の有効性を検証した臨床研究のデータを用いて行われた。研究参加者は脳卒中発症後2~15日に登録された18歳以上の患者1,367人〔年齢中央値72歳(四分位範囲65~79)、男性62%〕。主要評価項目は、運動量の経時的な変化であり、副次的に6カ月後の機能回復の程度(mRSスコア)が評価された。

 6カ月の追跡期間中に身体活動量が増加していた群720人(53%)と、減少していた群647人(47%)に二分し、交絡因子を調整後に比較すると、脳卒中の重症度(NIHSSスコア)は、脳卒中後の運動量の増減と有意な関連がなかった。その一方、男性であることと認知機能が正常であることが、運動量が増加することと有意に関連していた。また、脳卒中後の運動量の増加は、6カ月後の機能的転帰が良好なこと(mRSスコアが2点以下)と、有意に関連していた〔調整オッズ比2.54(99%信頼区間1.72~3.75)〕。

 Buvarp氏によると、脳卒中後の治療には、少なくとも週に4時間の軽い運動が理想的だという。運動の種類としては、散歩やガーデニング、釣り、卓球、ボーリング、自転車などが良いとのことだ。「身体活動は脳と体の双方の能力を高め、脳卒中後の回復を助ける。さらに、アクティブなライフスタイルは脳卒中患者の可動性を高め、転倒、うつ病、心臓病のリスクを軽減する」と話している。

 この報告に関連して、米ロングアイランド・ジューイッシュ・フォレストヒルズ病院のRohan Arora氏は、「運動は脳卒中後の回復に不可欠である。運動中には脳の正常な部分が働いて、脳卒中でダメージを負った部位の代わりを果たそうとする。つまり運動は、脳卒中後の脳を再プログラムするように働く」と解説する。

 しかし同氏によると、脳卒中後には運動しようという意欲そのものを失っている患者も存在するとのことだ。そして、「そのような患者に対して活動的になるように促すのも、医師の仕事の一部だ」と話す。そのような働きかけの結果、運動を始めると、「脳内で心地良いという情報を伝える物質が増加し、それによってモチベーションが高まり、回復へとつながっていく」のだという。ただ、Arora氏は、「運動は脳卒中後の患者の回復を促し、脳卒中の再発リスクを下げるための一つの手段に過ぎない。禁煙と標準体重の維持、健康的な食事も重要だ」と付け加えている。

[2023年5月2日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら