スリムな体型を保つには、タイミングこそが全てかもしれない。日常的に早朝に中等度から高強度の身体活動(moderate-to-vigorous physical activity;MVPA)を行う成人は、遅い時間帯にMVPAを行う成人に比べて太り過ぎや肥満になる可能性の低いことが、新たな研究で示された。米フランクリン・ピアス大学運動生理学分野のTongyu Ma氏らによるこの研究の詳細は、「Obesity」に9月4日掲載された。
Ma氏らはこの研究で、2003〜2004年と2005〜2006年の米国国民健康栄養調査(NHANES)参加者から抽出した5,285人のデータを用いて、MVPAを行う時間帯(早朝、昼間、夕方)と肥満(BMI、腹囲)との関連を検討した。参加者は7日連続で、起きている時間帯に腰部加速度計を装着するよう指示されており、週末を1日以上含む4日間(1日の装着時間が10時間以上)のデータがそろった場合を有効データとして用いた。このデータを基に参加者の身体活動(PA)のパターンを「朝」(642人)、「昼」(2,456人)、「夕方」(2,187人)の3群に分類した。
その結果、運動パターンが「朝」の参加者では、「昼」と「夕方」の参加者と比べて、BMIと腹囲の値が低いことが明らかになった。調整済みの平均BMIは、「朝」の参加者で27.4、「昼」の参加者で28.4、「夕方」の参加者で28.2であり、腹囲は同順で、95.9cm、97.9cm、97.3cmであった。また、PAに関するガイドラインで推奨されている週に150分以上のMVPAを行っていた参加者における調整済みの平均BMIは、「朝」の参加者で25.9、「昼」の参加者で27.6、「夕方」の参加者で27.2であり、腹囲は同順で、91.5cm、95.8cm、95.0cmであった。
このような結果についてMa氏は、「定期的に運動を行っている場合、朝に運動を行っている人の方が昼や夕方に運動を行っている人よりも、BMIが2単位低く、腹囲が1.5インチ(約3.8cm)小さかった」と述べ、「朝のワークアウトは、体重管理において有望な手段である」と主張している。ただしMa氏は、この研究により朝の運動が体重と関連することが示されたに過ぎず、両者の因果関係が明らかになったわけではないことも強調している。
Ma氏はまた、予想外の結果として、運動パターンが「朝」の参加者は、3群の中で座位時間が最も長かったことに言及。この点について同氏は、朝に運動をする人は、ソファーで過ごす時間が長いとしても、昼間や夕方に運動する人の活動量をしのぐ、「しっかりとした朝のワークアウトセッション」を行っている可能性が高いとの見方を示している。さらに、運動パターンが「朝」の参加者は、食生活が全体的に健康的であり、運動パターンが「昼」や「夕方」の参加者よりも摂取カロリーが少なかったという。
では、朝の運動が体型維持に有利となる理由は何なのだろうか。Ma氏は、「一晩の絶食を経た後の早朝には、われわれの体は低エネルギー状態にある。そのため、脂肪を使って運動に必要なエネルギーを作り出すことが多くなる。おそらくはこれが、朝の運動が体重管理に適している理由なのだろう」と述べている。
米国の栄養と食事のアカデミーの元会長であるConnie Diekman氏は、今回の結果についてはさらなる研究で検討する必要があるとしながらも、「結果に驚きはなかった」と話す。同氏は、「われわれは以前より、朝一番の運動がより効果的であるとして推奨してきた。現時点で得られたエビデンスは、朝の運動が代謝を高めるというベネフィットに焦点を当てているが、そのエビデンスの強さは、『朝に運動をしなければならない』と言い切れるほど強いものではない」と説明する。
Diekman氏は、自分の都合に合わせて運動を行うことを勧めており、「健康な体を維持するためには、PAを日課にする必要がある。これが、管理栄養士である私からの最も重要なアドバイスだ。週に150分以上のPAを、自分の毎日/毎週のルーチンに最も適した方法で行うように努力してみてほしい」と話している。
[2023年9月19日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら