緑地が近くにある環境で育った子どもは、たとえそれが公園や広い裏庭であっても、2〜5歳時に不安や抑うつといった感情的な問題を抱える可能性の低いことが、新たな研究で明らかになった。米国立衛生研究所(NIH)の資金提供を受けて米ノースカロライナ大学フランク・ポーター・グラハム児童発達研究所のNissa Towe-Goodman氏らが実施したこの研究結果は、「JAMA Network Open」に4月10日掲載された。
Towe-Goodman氏は、「われわれの研究結果は、自然の中に身を置くことが子どもにとって良いことを示す既存のエビデンスを裏付けるものだ」と述べる。また、「就学前の子どもが自然とふれあうことの重要性を示唆する研究結果でもある」と付言している。
この研究では、米国41州、199郡に住む2,103人の子ども(男児50.5%)を対象に、居住地周辺の緑地への曝露と小児期初期(2〜5歳)および小児期中期(6〜11歳)の内在化障害(不安、抑うつなど)と外在化障害(攻撃、ルール違反など)の関連を検討した。居住地周辺の緑地は、衛星画像を基にした植生密度を示す指標であるNDVI(Normalized Difference Vegetation Index、正規化植生指標)を用いて評価した。小児期初期の評価を1,469人が平均年齢4.2歳時に、小児期中期の評価を1,173人が平均年齢7.8歳時に受けた。
その結果、親の教育レベルや出産時の年齢、子どもの性別などの諸要因で調整しても、居住地周辺の緑地の多さは小児期初期の不安や抑うつなどの内在化障害の症状の少なさと有意に関連することが明らかになった。一方、小児期中期の子どもでは、居住地周辺の緑地と内在化障害や外在化障害との間に有意な関連は認められなかった。
Towe-Goodman氏は、「将来的には、自然の中でどのような経験をすることが、小児期初期の子どものメンタルヘルスと関係しているのかが検討される可能性がある」とNIHのニュースリリースの中で述べている。同氏はさらに、「家や学校の周囲に緑地を作ったり自然を保護したりすることが、子どものメンタルヘルスにどのような違いをもたらすかも研究すべきだ」と付け加えている。
[2024年4月11日/HealthDayNews]Copyright (c) 2024 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら