腎臓結石の残存破片の排出には超音波が有効

提供元:HealthDay News

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公開日:2024/10/15

 

 腎臓結石は外科的に除去しても半数の患者で小さな破片が腎臓に残ってしまう。こうした患者の約25%では、5年以内に、大きくなった破片を除去する再手術が必要になる。しかし、このような残存破片に対しては、超音波により結石を移動させて体内から排出できる可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。このような超音波を用いた処置を受けた患者での再発リスクは、受けなかった患者よりも70%低いことが示されたという。米ワシントン大学医学部の泌尿器科医であるJonathan Harper氏らによるこの研究の詳細は、「The Journal of Urology」に8月14日掲載された。

 この研究では、5mm以下の残存結石を持つ成人を、超音波の振動を利用して結石を移動させる治療(超音波推進〔ultrasonic propulsion〕)を受ける群(超音波推進群、40人)と対照群(42人)にランダムに割り付け、5年間での腎臓結石の再発率を比較した。腎臓結石の再発は、結石の成長、結石に関連した緊急診療または手術とした。超音波推進では、患者が覚醒している状態で、医師が超音波プローブを使って破片を尿管(腎臓から膀胱へ尿を運ぶ管)に近付けた。研究グループによると、破片は尿管に近づくと自然に排出される可能性が高いのだという。

 その結果、5年間での再発までの平均時間は、超音波推進群で1,530±92日、対照群で1,009±118日であり、前者の方が52%長いことが示された。また、再発したのは治療群では40人中8人、対照群では42人中21人で、超音波推進群での再発リスクは対照群に比べて70%低かった(ハザード比0.30、95%信頼区間0.13〜0.68)。

 Harper氏は、「この研究の主なポイントは、結石の破片を体内から排出することで再発リスクが低下すること、そして、そのような破片の排出には、非侵襲的な携帯型超音波装置による治療が効果的であるということだ」と述べている。

 Harper氏はワシントン大学のニュースリリースの中で、「超音波推進は、大きな可能性を秘めている。将来的には、歯のクリーニングと同じくらい、一般的な処置になる可能性がある。問題を引き起こす可能性のある小さな結石が体内にある場合には、クリニックを予約して30分程度の処置を受けるだけで済むからだ」と述べ、「これは腎臓結石の治療に革命をもたらす可能性がある」と期待を示している。

[2024年9月23日/HealthDayNews]Copyright (c) 2024 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら