新たに肺結核の診断を受けた患者に対する、リファンピシン、イソニアジド、ピラジナミド、エタンブトールを含む固定用量合剤(FDC)の投与と、各薬剤の個別投与とを比較するオープンラベル非劣性無作為化試験「Study C」が、WHOのChristian Lienhardt氏ら研究グループにより、アフリカ、アジア、ラテンアメリカの9ヵ国11ヵ所で行われた。FDCは薬剤耐性の出現を防ぐ方法として提唱されたものだが、これまで有効性や安全性の評価に関する無作為化試験はほとんど行われていなかった。JAMA誌2011年4月13日号掲載より。
4種FDC投与か個別薬剤投与を8週間毎日投与、18ヵ月後の細菌培養陰性率を比較
研究グループは、2003~2008年にかけて、新たに診断を受けた塗抹陽性肺結核の成人1,585人について試験を行った。研究グループは被験者を無作為に二群に分け、一方の群(798人)には4種FDCを、もう一方の群(787人)には4種の薬剤を個別に、それぞれ8週間毎日投与した。両群ともに、投与量はWHOの勧告に従って、被験者の体重により調整した。その後18ヵ月は、両群ともに、2種(リファンピシン、イソニアジド)FDCを週3回投与した。
主要アウトカムは、治療開始18ヵ月後の細菌培養陰性の割合だった。プロトコルに沿った被験者のみを分析したPPB分析と、治療を試みた全員を分析したITT分析2種の合わせて3種の分析を行い、非劣性マージンは4%と定義した。
3分析中2分析で、FDCの非劣性を示す
結果、PPB分析において18ヵ月後に細菌培養が陰性であったのは、FDC群は591人中555人(93.9%)に対し、個別投与群は579人中548人(94.6%)だった(リスク差:-0.7%、90%信頼区間:-3.0~1.5)。
ITT分析の一つ目の分析方法では、細菌培養が陰性だったのは、FDC群684人中570人(83.3%)、個別投与群664人中563人(84.8%)だった(リスク格差:-1.5%、90%信頼区間:-4.7~1.8)。二つ目のITT分析では、同陰性は、FDC群658人中591人(89.8%)に対し個別投与群647人中589人(91.0%)だった(同:-1.2%、-3.9~1.5)。
研究グループは、「3つの分析結果のうち2つで、FDCの個別投与に対する非劣性が示された。非劣性の証明は完全ではなかったが、FDC投与のほうが優位である可能性が示されたことにより、FDC投与のほうが好ましく優先される」と結論している。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)