米国ナーシングホーム入所者の褥瘡リスク、減少傾向にあるものの人種間格差続く

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2011/07/26

 



米国ナーシングホーム入所者の褥瘡罹患率は、2003年から2008年にかけて減少傾向にあるものの、白人入所者よりも黒人入所者で高率の状態が続いていることが明らかになった。米国・アイオア大学一般総合内科のYue Li氏らが、米国内の約1万2,500ヵ所のナーシングホームと、その入所者約250万人について観察研究を行った結果によるもので、JAMA誌2011年7月13日号で発表した。

ステージ2以上の褥瘡罹患率、黒人が白人より約5ポイント高率




研究グループは、2003~2008年にかけて、米国内1万2,4730ヵ所のナーシングホームに入所する、白人入所者210万人と黒人入所者34万6,808人を対象に、ステージ2~4の褥瘡罹患率について調査を行った。人種間格差が施設間や施設内でないか、罹患率の割合が調べられた。

結果、2003年時点の補正前褥瘡罹患率は白人入所者では11.4%(95%信頼区間:11.3~11.5)だったのに対し、黒人入所者では16.8%(同:16.6~17.0)と高率だった。また2008年時点では、白人入所者は9.6%(同:9.5~9.7)だったのに対し、黒人入所者では14.6%(同:14.4~14.8)で、全体的には減っていたが黒人入所者の割合は依然として高かった。2003年の補正前同率の人種間格差は5.4ポイント、2008年は同5.0ポイントだった(傾向に関するp>0.05)。

黒人入所者比率の高い施設で、人種を問わず褥瘡リスクが高い




黒人入所者比率が35%以上の施設についてみたところ、2008年のステージ2~4の黒人入所者の補正前褥瘡罹患率は15.5%(95%信頼区間:15.2~15.8)であり、この値は、黒人入所者比率が5%未満の施設の同11.8%(同:10.9~12.7)に比べ高く、補正後オッズ比は1.59(同:1.52~1.67)だった。

また黒人入所者比率35%以上の施設では、白人入居者の補正前褥瘡罹患率も12.1%(同:11.8~12.4)と、黒人入所者比率5%未満施設の同8.8%(同:8.7~8.9)と比べて高く、補正後オッズ比は、1.33(同:1.26~1.40)だった。

研究グループは、褥瘡罹患率の人種間格差の原因の一部は施設にあるようだ、としている。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)