HR陽性転移性乳がんに対する、アロマターゼ阻害薬アナストロゾール(商品名:アリミデックス)とフルベストラント(同:フェソロデックス)の併用療法について行われた第3相無作為化試験の結果、併用療法ではフルベストラントの投与量が標準的とされる用量よりも少なかったにもかかわらず、アナストロゾール単独療法および増悪後はフルベストラントへとクロスオーバーする逐次療法よりも臨床効果が優れることが示された。米国・カリフォルニア大学アーヴィン医療センターのRita S. Mehta氏らが行った検討で、NEJM誌2012年8月2日号で発表された。
アナストロゾール単独よりもフルベストラントとの併用療法が優れるか検討
試験は、転移性乳がん治療歴のない閉経後女性を1対1の割合で2群に無作為化して行われた。1群はアナストロゾール1gを毎日経口投与する群で、2群はアナストロゾールとフルベストラントの併用療法群だった。1群は、疾患増悪時にはフルベストラント単独投与へのクロスオーバーが強く推奨された。フルベストラントは1日目500mg、14、28日目に250mgを、以後は月1回250mgを筋注投与した。
患者はタモキシフェン補助療法既往の有無で階層化された。主要エンドポイントは、無増悪生存期間とし、事前規定の副次アウトカムを全生存とした。
2004年6月1日~2009年7月1日に707例が無作為化され、intention-to-treat解析は無作為化後に試験不適格となった被験者を除く694例を対象に行われた。
無増悪生存期間の中央値、13.5ヵ月対15.0ヵ月
結果、無増悪生存期間の中央値は、1群13.5ヵ月、2群15.0ヵ月で、併用療法の増悪または死亡のハザード比は0.80(95%信頼区間:0.68~0.94)だった(log-rank検定によるp=0.007)。
併用療法は概してすべてのサブグループにおいて有意な交互作用なく、アナストロゾール単独群よりも効果的だった。
1群患者の41%は進行後にフルベストラントへと完全にクロスオーバーしたが、全生存率も併用療法でより長かった。全生存期間中央値は、1群41.3ヵ月、2群47.7ヵ月で、死亡ハザード比は0.81(95%信頼区間:0.65~1.00)だった(log-rank検定p=0.05)。
2群死亡例のうち3例は治療と関連していた可能性があった。なおグレード3~5の毒性作用の発現率は、2群間で有意差はなかった。
(武藤まき:医療ライター)