睡眠時無呼吸症候群に対して肥満外科手術は有効か?

提供元:ケアネット

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公開日:2012/10/01

 

 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)に対する肥満外科手術は従来療法と比較して、大幅に体重は減少するものの、達成無呼吸低呼吸指数(AHI)については有意差を伴う減少は認められなかったことが、オーストラリア・モナッシュ大学のJohn B. Dixon氏らによる無作為化試験の結果、報告された。OSAは肥満と強く関連しており、肥満を有するOSA患者では体重減が治療計画において推奨されている。しかし、これまでその有効性を検討した無作為化対照試験は行われていなかった。JAMA誌2012年9月19日号の掲載報告。

手術群と従来療法群とのベースラインから2年間のAHIの変化を比較
試験は2006年9月~2009年3月に、メルボルンの大学・教育病院の研究グループによって行われた。肥満患者(BMI>35~<55)で直近(6ヵ月未満)にOSAと診断され、AHI>20回/時の60例を対象とし、被験者は、OSAに対しCPAP療法を受けており地域の睡眠専門クリニックを通じて登録された。肥満低換気症候群、肥満外科手術が既往または禁忌の患者、および心肺性・神経性・血管性・胃腸管系・腫瘍性の疾患を有する患者は除外された。

被験者は、栄養士と医師による定期的な指導管理と適宜の超低カロリー食を含む減量プログラムを受けた従来療法群(30例)と、肥満外科手術(腹腔鏡検査で調整可能な胃バンディング手術)群(30例)に無作為に割り付けられた。

主要アウトカムは、ベースラインから2年間のAHIの変化だった。割り付け情報を知らされていなかったスタッフによる診断用睡眠ポリグラフのスコアで検討した。副次アウトカムは、体重変化、CPAPアドヒアランス、身体機能状態(SF-36で評価)だった。

手術群、体重は有意に減少もAHI減少は有意差認められず
体重減少は、従来療法群平均5.1kg(95%信頼区間:0.8~9.3)だったのに対し、手術群は平均27.8kg(同:20.9~34.7)と有意な減少がみられた(p<0.001)。

AHIは、従来療法群14.0回/時(同:3.3~24.6)減少したのに対し、手術群は25.5回/時(同:14.2~36.7)減少した。両群間の差は-11.5(同:-28.3~5.3)で有意差は認められなかった(p=0.18)。

CPAPアドヒアランスについて両群間の差はなかった。SF-36評価スコアは、手術群で有意に大きく改善した(平均9.3、95%信頼区間:0.5~18.0、p=0.04)。

(武藤まき:医療ライター)