75歳以上の高齢者に焦点をあてoff-pump冠動脈バイパス術(CABG)のベネフィットについて検討した、ドイツ・ヘルツ&ゲファスクリニックのAnno Diegeler氏らによる無作為化試験「GOPCABE」の結果が発表された。on-pump CABGと比べて、30日時点、12ヵ月時点ともに死亡や脳卒中など複合アウトカムに関する有意差は認められなかったという。off-pump CABGについてはその有用性はなお議論の的である。これまで低リスク患者や異なるリスク背景をもつ患者を対象とした試験は行われているが、高齢者については確認されておらず、Diegeler氏らは、高リスク患者におけるoff-pump CABGの有効性を明らかにできることを確信して本検討を行った。NEJM誌オンライン版2013年3月11日号の掲載報告より。
死亡・脳卒中・心筋梗塞・再血行再建・新規腎代替療法の主要複合エンドポイントを評価
GOPCABE(German Off-Pump Coronary Artery Bypass Grafting in Elderly Patients)試験は、2008年6月5日~2011年9月9日の間にドイツ国内12ヵ所で、待機的初回CABGを受ける75歳以上の患者を登録して行われた。
4,355例がスクリーニングを受け、2,539例が無作為化を受け、off-pump群に1,271例、on-pump群に1,268例が割り付けられた。主要エンドポイントは、手術後30日時点と12ヵ月時点についての、死亡・脳卒中・心筋梗塞・再血行再建・新規腎代替療法の複合であった。
無作為化後に適格除外となり、割り付けられた手術を受け解析に組み込まれたのはoff-pump群1,187例、on-pump群1,207例であった。両群のベースラインでの患者特性はほぼ同等で、平均年齢は78歳、女性が約3割で、心筋梗塞既往は36.9%、左室駆出率≦50%は32.2%などであった。
30日時点、12ヵ月時点ともに主要複合エンドポイントの有意差はみられず
結果、術後30日時点の主要複合エンドポイント発生は、off-pump群93例(7.8%)、on-pump群99例(8.2%)で、両群間に有意な差はみられなかった[オッズ比(OR):0.95、95%信頼区間(CI):0.71~1.28、p=0.74)。ただし5つの複合エンドポイントを個別にみると、再血行再建のみoff-pump群で有意に高い発生がみられた(同:2.42、1.03~5.72、p=0.04)。他の4つは有意差はみられなかった(各ORは0.80~0.92)。
12ヵ月時点についても主要複合エンドポイントの発生は、両群間で有意な差はみられなかった[154/1,179例(13.1%)対167/1,191例(14.0%)、ハザード比(HR):0.93、95%CI:0.76~1.16、p=0.48]。個別にみても、再血行再建のみoff-pump群の発生が高率だったが有意差は認められず(同:1.52、0.90~2.54、p=0.11)、その他4つのエンドポイントは有意差はみられなかった(各HRは0.79~0.90)。
同様の結果は、per-protocol解析(割り付け治療がクロスオーバーした被験者177例を除外)においてもみられた。