心肺蘇生でのVSEコンビネーション療法、神経学的に良好な生存退院率を改善/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2013/07/31

 

 心停止患者の蘇生処置について、心肺蘇生(CPR)中のバソプレシン+エピネフリンとメチルプレドニゾロンの組み合わせ投与および蘇生後ショックに対するヒドロコルチゾン投与は、プラセボ(エピネフリン+生理食塩水)との比較で、神経学的に良好な状態で生存退院率を改善することが明らかにされた。ギリシャ・アテネ大学のSpyros D. Mentzelopoulos氏らが無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間試験の結果、報告した。先行研究において、バソプレシン-ステロイド-エピネフリン(VSE)のコンビネーション療法により、自発的な血液循環および生存退院率が改善することが示唆されていたが、VSEの神経学的アウトカムへの効果については明らかではなかった。JAMA誌2013年7月17日号掲載の報告より。

20分以上の自発的な血液循環、CPCスコア1もしくは2での生存退院率を評価
 研究グループは、昇圧薬を必要とした院内心停止患者について、CPR中のバソプレシン+エピネフリン投与と、CPR中またはCPR後にコルチコステロイドを投与する組み合わせが、生存退院率を改善するかを、脳機能カテゴリー(Cerebral Performance Category:CPC)スコアを用いて評価を行った。同スコアの1、2を改善の指標とした。

 試験は2008年9月1日~2010年10月1日の間に、ギリシャの3次医療センター3施設(病床数計2,400床)を対象に行われた。被験者は、蘇生ガイドラインに従いエピネフリン投与を必要とした院内心停止患者で、364例が試験適格について評価を受け、そのうち268例が解析に組み込まれた。

 被験者は、バソプレシン(CPRサイクル当たり20 IU)+エピネフリン(同1mg;約3分間隔で)投与群(VSE群、130例)か、生理食塩水+エピネフリン(同1mg;約3分間隔で)投与群(対照群、138例)に無作為化され、初回CPRを5サイクル受けた。必要に応じてエピネフリンの追加投与を受けた。無作為化後の初回CPR中、VSE群はメチルプレドニゾロン(40mg)も受けた。対照群は生理食塩水を受けた。

 また、蘇生後ショックに対しては、VSE群(76例)に対してはヒドロコルチゾンをストレス用量で投与し(最大量300mg/日を7日間投与したあと漸減)、対照群(73例)には生理食塩水を投与した。

 主要評価項目は、20分以上の自発的な血液循環(ROSC)、CPCスコア1もしくは2での生存退院率とした。

CPCスコア1もしくは2での生存退院率改善は、VSE群が対照群の3.28倍
 全蘇生患者についてフォローアップは完遂された。

 VSE群の患者は対照群と比べて、20分以上のROSCの達成患者が有意に高率だった(83.9%対65.9%、オッズ比[OR]:2.98、95%信頼区間[CI]:1.39~6.40、p=0.005)。

 CPCスコア1もしくは2で生存退院した患者の割合も有意に高率だった(13.9%対5.1%、OR:3.28、95%CI:1.17~9.20、p=0.02)。

 蘇生後ショックの処置について、ヒドロコルチゾン投与を受けたVSE群のほうが、プラセボ投与を受けた対照群と比べて、CPCスコア1もしくは2で生存退院した患者の割合が有意に高率だった(21.1%対8.2%、OR:3.74、95%CI:1.20~11.62、p=0.02)。

 有害イベントの発現率は、両群で同程度だった。

(武藤まき:医療ライター)