65歳以上高齢者への高用量3価不活化インフルエンザワクチン(IIV3-HD)接種は、標準量同ワクチン(IIV3-SD)接種に比べ、インフルエンザ様疾患の予防効果が高く、抗体反応の誘導は有意に高いことが示された。米国・ピッツバーグ大学のCarlos A. DiazGranados氏らが約3万2,000例の高齢者を対象に行った第IIIb~IV相臨床試験の結果、報告した。これまでの報告で、抗体反応が向上することは報告されていた。NEJM誌8月14日号掲載の報告より。
株当たり赤血球凝集素60μgの高用量ワクチンを投与
研究グループは、米国・カナダ126ヵ所の研究施設で、3万1,989例の65歳以上を対象に、多施設共同無作為化二重盲検試験を行った。試験では、株当たりの赤血球凝集素が60μgのIIV3-HD接種と、同15μgのIIV3-SD接種の、インフルエンザ予防効果を比較。被験者を無作為に2群に分け、一方の群にはIIV3-HDを(1万5,991例)、もう一方にはIIV3-SD(1万5,998例)を接種した。
北半球インフルエンザ流行期2011~2012年シーズンと2012~2013年シーズンに、相対的有効性、効果、重篤な有害事象などの安全性、免疫原性を評価。疾患調査期間は毎年4月30日までで、被験者はその間、呼吸器症状が発生した場合には報告し、また電話による週1~2回の追跡調査を受けた。
高用量群の標準量群に対する相対的有効性は24.2%、安全性は同等
事前に規定した、インフルエンザ様疾患の発症が確認されたのは、IIV3-HD群は228例(1.4%)、IIV3- SD群は301例(1.9%)だった(相対的有効性:24.2%、95%信頼区間:9.7~36.5%)。
調査期間中に1回以上の重篤有害事象が発生したのは、IIV3-HD群の1,323例(8.3%)、IIV3-SD群の1,442例(9%)だった(相対リスク:0.92、同:0.85~0.99)。
ワクチン接種後28日のHAI抗体価と血清抗体保有率(HAI抗体価が1対40以上だった人の割合)は、IIV3-HD群で有意に高かった。