携帯電話で服薬リマインド、効果は?/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2014/11/14

 

 HIV感染患者を対象に、抗レトロウイルス療法(ART)の開始にあたって携帯電話を使った治療薬服用に関するリマインドの介入を行ったが、治療効果を示すウイルス学的失敗までの時間や同発生率について、非介入との差は示されなかった。また、治療薬のアドヒアランスへの効果も認められなかった。インド・St John’s Medical College HospitalのAnita Shet氏らが、631例のHIV感染患者について行った無作為化比較試験の結果、報告した。BMJ誌オンライン版2014年11月6日号掲載の報告より。

毎週、自動音声による双方向通話と、その4日後にリマインド画像メッセージを送付
 研究グループは、インド南部の3ヵ所の保健医療施設(国立の外来診療所2施設、民間HIVヘルスケアクリニック1施設)で2010年7月~2011年8月にかけて、ART未治療の成人HIV感染患者631例を対象に検討を行った。

 被験者を無作為に2群に分け、一方には毎週、患者の携帯電話に、双方向となるようYes/Noの質問方式(1または2を押して回答)を取り入れた自動音声通話をかけて、薬の処方どおりの服用を促した。患者が応答しない場合は通話が成立するまで最大3回のコールが24時間にわたって行われた。また同通話から4日後に、リマインドを目的とした画像メッセージの送付を非双方向で行った。

 もう一方の対照群には、携帯電話による介入のない通常どおりの治療を行った。

 主要評価項目は、2回連続測定でのウイルス量400コピー/mL超で定義した、ウイルス学的失敗までの時間だった。副次評価項目は、治療薬の数により判断したART治療のアドヒアランス(遵守率)、および死亡率、治療離脱率だった。最適アドヒアランスは平均95%未満と定義した。

ウイルス学的失敗率、非最適アドヒアランスは両群で同等
 結果、ウイルス学的失敗率は、介入群が10.52(95%信頼区間[CI]:8.11~14.19)/100人年に対し、対照群は10.73(同:7.95~13.92)/100人年と、両群で有意差は認められなかった。ウイルス学的失敗の患者数は、それぞれ49/315例(15.6%)、49/316例(15.5%)だった。

 また、ウイルス学的失敗までの時間についても、両群で有意差は認められなかった(補正前ハザード[HR]比:0.98、同:0.67~1.47、p=0.95)。

 最適アドヒアランスも、両群で同等だった(補正前罹患率比:1.24、同:0.93~1.65、p=0.14)。最適アドヒアランスの定義を満たした人は、それぞれ81/300例(27.0%)、65/299例(21.7%)だった。

 これらの解析結果は、交絡因子で補正後も変わらず両群間の有意差は示されなかった(HR:0.96、p=0.85)。また、副次評価項目(死亡率の補正後HR:0.91、p=0.74、離脱率の同0.59、p=0.10)、施設や年齢などによるサブグループ解析の結果も似通ったものだった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)