重症市中感染性肺炎で高度炎症反応を示す患者に対し、メチルプレドニゾロンを5日投与することで、治療失敗リスクは18ポイントほど低下することが明らかにされた。スペインのバルセロナ・ホスピタル・クリニックのAntoni Torres氏らが多施設共同プラセボ対照二重盲検無作為化試験の結果、報告した。重症市中肺炎患者では、治療失敗と高度炎症反応とが関係しており、予後が不良となることが知られていた。こうした患者について、コルチコステロイドは炎症サイトカイン放出を調整するが、その治療の有益性については議論の的となっていた。JAMA誌2015年2月17日号掲載の報告より。
入院36時間以内からメチルプレドニゾロンを5日投与
研究グループは、2004年6月~2012年2月にかけて、スペイン3ヵ所の教育病院で、重症市中感染性肺炎で高度炎症反応を示す患者を対象に試験を行った。
被験者を無作為に2群に分け、一方にはメチルプレドニゾロン(0.5mg/kg/12時間、61例)を、もう一方にはプラセボ(59例)を、入院36時間以内から5日間、それぞれ静脈内ボーラス投与した。
高度炎症反応については、入院時CRP値が150mg/L超と定義した。
主要評価項目は、(1)臨床的増悪によるショックの発症、(2)ベースライン時には不要だった侵襲的人工呼吸器の必要性の発生、(3)治療72時間以内の死亡、で定義した「初期治療失敗」。または、(1)X線検査で増悪を確認、(2)持続的な重度呼吸不全、(3)ショックの発症、(4)ベースライン時には不要だった侵襲的人工呼吸器の必要性の発生、(5)治療開始後72~120時間内の死亡、で定義した「後期治療失敗」のいずれかだった。
治療失敗に関するメチルプレドニゾロン群のオッズ比は0.34
結果、治療失敗はプラセボ群18例(31%)に対し、メチルプレドニゾロン群は8例(13%)と、有意に低率だった(群間差:18%、95%信頼区間:3~32%、p=0.02)。
メチルプレドニゾロン群のプラセボ群に対する、治療失敗リスクに関するオッズ比は、0.34(同:0.14~0.87、p=0.02)だった。
一方で、院内死亡率はプラセボ群9例(15%)、メチルプレドニゾロン群6例(10%)で、有意差はみられなかった(p=0.37)。また、高血糖症が、メチルプレドニゾロン群11例(18%)で、プラセボ群7例(12%)で確認されたが有意差はみられなかった(p=0.34)。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)