ICU免疫不全患者の急性呼吸不全、非侵襲的換気療法の有効性/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2015/10/19

 

 急性呼吸不全で低酸素血症を呈するICU入室の免疫不全患者において、早期の非侵襲的換気療法は酸素療法単独と比較して28日死亡率を低下しなかったことを、フランス・Saint-Louis University HospitalのVirginie Lemiale氏らが無作為化試験の結果、報告した。ただし、試験の検出力は限定的なものであったとしている。同患者に対しては、死亡率を低下するとして非侵襲的換気療法が推奨されている。一方で、その有効性については不明なままでもあった。JAMA誌オンライン版2015年10月7日号掲載の報告。

フランス、ベルギー28施設374例を対象に無作為化試験
 試験は2013年8月12日~15年1月2日にフランスとベルギーの28施設にて374例の免疫不全患者を登録して行われた。このうち317例(84.7%)は造血器腫瘍または固形腫瘍で治療中の患者であった。被験者を、早期の非侵襲的換気療法を受ける群(191例)または酸素療法単独を受ける群(183例)に無作為に割り付け、追跡評価した。

 主要アウトカムは、28日死亡率。副次アウトカムは、挿管3日時点のSOFA(sequential organ failure assessment)スコア、ICU関連の感染症、機械的換気療法期間、ICU入室期間などであった。

28日死亡率、換気療法群24.1%、酸素療法群27.3%
 無作為化時点の酸素流量中央値は、換気療法群9L/分(四分位範囲:5~15)、酸素療法群9L/分(同6~15)であった。換気療法群の全患者が無作為化の直後に初回換気セッション(24時間以内に中央値8時間施行)を受けていた。
 無作為化後28日時点で、死亡は換気療法群46例(24.1%)、酸素療法群50例(27.3%)であった(絶対差:-3.2、95%信頼区間[CI]:-12.1~5.6、p=0.47)。

 また、酸素化に失敗したのは、全体では155例(41.4%)であり、群別にみると換気療法群73例(38.2%)、酸素療法群82例(44.8%)であった(絶対差:-6.6、95%CI:-16.6~3.4、p=0.20)。

 ICU関連感染症、機械的換気療法期間、ICU入室または病院入院期間について、両群間で有意差はみられなかった。

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コメンテーター : 倉原 優( くらはら ゆう ) 氏

近畿中央呼吸器センター

2006年滋賀医大卒業。洛和会音羽病院を経て08年から現職。
自身のブログ「呼吸器内科医」では医学論文の和訳や医療エッセーを執筆。