NASHへのリラグルチド、第II相試験で有望/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2015/12/09

 

 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に対するリラグルチドの有効性と安全性が、第II相多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果、報告された。組織所見の改善が認められ、安全性および良好な忍容性が確認されたという。英国・バーミンガム大学のMatthew James Armstrong氏らが報告した。結果を踏まえて著者は「長期試験を行う根拠が得られた」と述べている。GLP-1アナログ製剤については、マウスモデルで肝脂肪、肝酵素濃度、インスリン抵抗性の改善が確認されている。製剤は2型糖尿病治療薬としては承認されているが、非アルコール性脂肪性肝炎に対する有効性は明らかになっていない。Lancet誌オンライン版2015年11月19日号掲載の報告。

プラセボ対照でベースラインから48週の治療終了時の肝組織所見改善を評価
 試験は、2010年8月1日~13年5月31日に、英国の4医療施設で行われた。被験者は無作為に2群に分けられ、一方にはリラグルチド1.8mg/日静注投与、もう一方にはプラセボが投与された。被験者は、過体重で臨床的に非アルコール性脂肪性肝炎と認められた52例で、割り付けは1対1の割合でコンピュータを使用し中央管理下で行われた。なお、試験施設別および糖尿病有無別の層別化も行われた。

 本試験のデザインには、A'Hern's single-group法が用いられ、リラグルチドの有効性については、同群38%(8/21例)の臨床的に意義のある効果が認められた場合とした。

 患者、研究者、臨床試験施設スタッフ、病理医は試験期間中、治療割り付けを知らされなかった。

 主要評価項目は、ベースラインから治療終了時(48週)の線維化無増悪で非アルコール性脂肪性肝炎の組織所見消失とし、中央施設で2人の病理医がそれぞれ評価した。

39%で改善を確認、線維化進行は9%に留まる
 試験薬投与を受け試験終了時に肝生検を受けた被験者で、組織所見の改善は、リラグルチド群では23例のうち9例(39%)で認められたのに対し、プラセボ群は22例のうち2例(9%)であった(相対リスク:4.3、95%信頼区間[CI]:1.0~17.7、p=0.019)。

 また、線維化進行は、リラグルチド群が23例のうち2例(9%)であったのに対し、プラセボ群は22例中8例(36%)であった(同:0.2、0.1~1.0、p=0.04)。

 有害事象はGrade1(軽症)~2(中等度)の頻度が最も高く、いずれも一過性で、両群の発現頻度は類似していた。ただし、消化器障害については、リラグルチド群21/23例(81%)でみられた。プラセボ群は17/22例(65%)。症状としては、下痢(リラグルチド群38%、プラセボ群19%)、便秘(27%、なし)、食欲不振(31%、8%)などが報告された。