虚血性脳卒中の患者に対し、発症から6~8時間内に血栓除去法などの血管内治療を行うほうがrt-PA静注療法を含む内科的治療のみを行った場合に比べ、発症90日以内の機能的アウトカムは良好である。ポルトガル・リスボン大学のFilipe Brogueira Rodrigues氏らが、10の無作為化比較試験を対象に行ったメタ解析の結果、明らかにした。結果を踏まえて著者は、「今回示されたエビデンスは、現行の介入リソースを再構築する必要性、および治療行為を変更する必要性を支持するものであった」とまとめている。BMJ誌オンライン版2016年4月18日号掲載の報告より。
10試験、被験者総数3,000例弱について分析
研究グループは、Medline、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Web of Scienceなどのデータベースを用い、18歳以上の虚血性脳卒中に対する血栓除去法などの血管内治療と、内科的治療のみについて検討した無作為化比較試験を検索し、システマティック・レビューとメタ解析を行った。内科的治療には、rt-PA静注療法を含んだ。各試験の登録被験者は、静注療法は発症3~4.5時間内に、血管内治療は同6~8時間内に受けていた。
エンドポイントは、発症から90日以内の修正Rankinスケール2以下の機能的アウトカム、および死亡率とした。
検索の結果、分析には10試験、被験者総数2,925例が組み込まれた。
直近7試験の解析では、血管内治療群の死亡のリスク比は0.86
結果、血管内治療群は内科的治療のみ群に比べ、発症90日以内の機能的アウトカムが良好(スケール2以下)または非常に良好(同1以下)の割合が高かった。一方で、死亡率や症候性頭蓋内出血の発症率は同等だった。
また、2015年以降に発表された7試験では、内科的治療のみ群ではrt-PA静注療法の施行率が高く発症から早期の段階で行われていた。一方の血管内治療も、より有効とされるデバイスが使用されていた。被験者の86%超がステントリトリーバー(血栓回収型デバイス)による治療を受けており、血管再開通率も従前の報告よりも高かった(58%超)。
これら7試験についてサブグループ分析を行った結果、血管内治療群の良好な機能的アウトカムに関する内科的治療群に対するリスク比は、1.56(95%信頼区間:1.38~1.75)だった。一方で死亡に関する同リスク比は、0.86(同:0.69~1.06)だった。
なお本検討については今後、完全検証の結果が発表される予定だという。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)