小児期や思春期に糖尿病と診断された10代ならびに若年成人患者は、糖尿病合併症および併存症の有病率が高く、とくに1型と比較して2型糖尿病患者で高値であることが示された。米国・コロラド公衆衛生大学院のDana Dabelea氏らが、小児・思春期糖尿病患者を対象とした観察研究の結果を報告した。著者は、「若年糖尿病患者では、早期から合併症発症に関するモニタリングを行うことが重要である」とまとめている。小児や思春期の1型および2型糖尿病有病率は世界的にも増加しているが、直近の若年糖尿病患者で合併症や併存症に関与する因子や有病率は不明であった。JAMA誌2017年2月28日号掲載の報告。
20歳未満で糖尿病と診断された若年糖尿病患者を追跡し、予後調査を実施
研究グループは、米国5地域で進行していた住民を対象とする発生率登録ネットワークから、2002~06年または2008年に1型糖尿病または2型糖尿病と新たに診断された20歳未満の若年糖尿病患者を特定し、ベースラインならびに追跡調査時(1、2および5年後)に糖尿病合併症のリスク因子について評価した。このうち、糖尿病罹病期間が5年以上で10歳以上の参加者を対象に、2011~15年の間に糖尿病関連合併症に関する予後調査を行った。
リスク因子の測定項目は、BMI、腹囲、腹囲身長比、血圧(収縮期、拡張期:3回の測定の平均)、平均動脈圧、HbA1c値、空腹時Cペプチド、脂質、クレアチニン、尿中アルブミン量などで、予後調査時の主要評価項目は、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、末梢神経障害、心血管自律神経障害ならびに併存疾患(動脈壁硬化、高血圧症)とした。
糖尿病罹病期間が平均約8年で、1型は3分の1、2型は3分の2が合併症を有する
解析対象は2,018例で、このうち1型糖尿病が1,746例(平均[±SD]年齢17.9±4.1歳、非ヒスパニック系白人1,327例[76.0%]、女性867例[49.7%])、2型糖尿病が272例(平均22.1±3.5歳、非ヒスパニック系白人72例[26.5%]、女性181例[66.5%])であった。糖尿病罹病期間は、1型および2型ともに平均7.9年であった。
2型糖尿病患者は1型糖尿病患者に比べ、心血管自律神経障害を除いたすべての合併症に関して年齢補正後有病率が有意に高かった(心血管自律神経障害の絶対差は1.2%、p=0.62)。
糖尿病罹病期間平均7.9年、推定21歳時の糖尿病合併症または併存症の有病率は、1型で32%、2型で72%であった。
また、経年的に測定されたリスク因子で補正すると、2型糖尿病患者は1型糖尿病患者より、糖尿病腎症(補正後オッズ比2.58、p=0.003)、糖尿病網膜症(2.24、p=0.02)、末梢神経障害(2.52、p=0.001)の補正後オッズ比が有意に高かったが、動脈壁硬化(1.07、p=0.80)と高血圧症(0.85、p=0.55)では差は認められなかった。
(医学ライター 吉尾 幸恵)