巨細胞性動脈炎の寛解維持にトシリズマブが有用/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2017/08/07

 

 巨細胞性動脈炎患者において、26週間のprednisone漸減中にトシリズマブを毎週または隔週で投与した群は、26週間または52週間のprednisone漸減中にプラセボを投与した群と比較して、糖質コルチコイドなしでの寛解維持が優れていたことが示された。米国・マサチューセッツ総合病院のJohn H. Stone氏らが行った、糖質コルチコイド漸減中にインターロイキン-6受容体α阻害薬トシリズマブを投与することで、糖質コルチコイドなしで高率の寛解維持が可能かについて検討した、第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の1年間の結果で、NEJM誌2017年7月27日号で発表された。巨細胞性動脈炎の寛解維持に糖質コルチコイドは有用だが、長期に使用すると副作用が伴う。しかし、漸減すると再燃が生じるため糖質コルチコイド中断後も寛解維持可能な治療の登場が待たれている。

26週間または52週間で漸減しプラセボ投与と比較
 試験は50歳以上の巨細胞性動脈炎患者251例を、次の4群に2対1対1対1の割合で無作為に割り付けて行われた。26週間のprednisone漸減中に、(1)トシリズマブ(1回162mg)を毎週皮下投与する群、(2)同隔週皮下投与する群、(3)プラセボを投与する群、(4)52週間のprednisone漸減中にプラセボを投与する群。

 主要アウトカムは、26週間のprednisone漸減中にプラセボを投与した群と比較した、両トシリズマブ投与群の52週時点の糖質コルチコイドなしでの寛解維持率とした。また、52週間のprednisone漸減中にプラセボを投与した群と比較した、両トシリズマブ投与群の寛解維持率を、主な副次アウトカムとした。

 トシリズマブ隔週投与群に割り付けた1例が、試験薬の投与を受けなかったため、intention-to-treat集団および安全性集団には250例が包含された。52週間の試験を完遂したのは216例(86%)であった。

毎週または隔週投与群ともプラセボ投与群より有意に寛解維持に優れる
 52週時点の寛解維持率は、トシリズマブ毎週投与群56%、同隔週投与群53%であったのに対し、26週間のprednisone漸減中プラセボ投与群は14%(主要アウトカム、p<0.001)、52週間のprednisone漸減中プラセボ投与群は18%であった(主な副次アウトカム、p<0.001)。

 52週間のprednisoneの累積用量中央値は、両トシリズマブ群が1,862mgであったのに対し、26週間のprednisone漸減中プラセボ投与群は3,296mg(両群間比較のp<0.001)、52週間のprednisone漸減中プラセボ投与群は3,818mg(両群間比較のp<0.001)であった。

 重篤な有害事象の発生頻度は、トシリズマブ毎週投与群で15%、同隔週投与群で14%、26週間のprednisone漸減中プラセボ投与群22%、52週間のprednisone漸減中プラセボ投与群は25%であった。なお、トシリズマブ隔週投与群の1例で前部虚血性視神経症の発症が報告された。

 これらの結果を踏まえて著者は、「さらなる追跡調査を行い、トシリズマブによる寛解の持続性と安全性を確定する必要がある」とまとめている。

(ケアネット)