1型糖尿病の妊婦に対する持続血糖モニタリング(CGM)は、新生児アウトカムを改善することが、カナダ・Sinai Health SystemのDenice S. Feig氏らによる多施設共同非盲検無作為化試験「CONCEPTT試験」の結果、示された。著者らは、「CGMは、インスリン強化療法を受ける1型糖尿病の全妊婦に推奨すべきである」と提言している。1型糖尿病妊婦はリスクが高く、至適血糖コントロールに努めることが推奨される。しかし、母体の高血糖により新生児アウトカムは良好には至らない状況であった。なお今回の検討は、CGM使用による血糖以外の健康アウトカムについて、改善の可能性を示唆した初の試験であったという。Lancet誌オンライン版2017年9月14日号掲載の報告。
妊婦と妊娠計画女性を対象にCGM使用、非使用の効果を調査
研究グループは、カナダ、英国、スコットランド、スペイン、イタリア、アイルランド、米国の31病院において、1型糖尿病に12ヵ月以上罹患しておりインスリン強化療法を受けている18~40歳の、妊婦(13週6日目以下)または妊娠を計画している女性を集めて、母体血糖コントロール、産科アウトカムおよび新生児アウトカムに対するCGMの効果を調べた。検討は、妊婦を対象とした試験と妊娠計画女性を対象とした試験を同時並行で行った。
各試験の被験者は、自己血糖測定モニタリング(capillary glucose monitoring)とCGMを行う群、または自己血糖測定モニタリングのみを行う群に、無作為に割り付けられた。インスリン療法(ポンプまたは注射)、ベースライン糖化ヘモグロビン(HbA1C)値による層別化も行った。
主要アウトカムは、妊婦対象試験は無作為から妊娠34週までのHbA1C値の変化とし、妊娠計画女性対象試験は無作為から24週または懐胎までのHbA1C値の変化とした。評価は、無作為化を受けベースラインで評価を受けた全参加者について行った。
副次アウトカムは、産科および新生児の健康アウトカムなどで、入手データのみで評価を行った。
新生児健康アウトカムが有意に改善
2013年3月25日~2016年3月22日に、325例(妊婦試験215例、妊娠計画女性試験110例)が、CGM使用群(各試験108例、53例)またはCGM非使用群(107例、57例)に無作為に割り付けられた。
主要アウトカムについて、妊婦試験ではCGM使用が好ましいことを示す、わずかだが有意なHbA1C値の変化に関する群間差を示す結果が認められた(平均差:-0.19%、95%信頼区間[CI]:-0.34~-0.03、p=0.0207)。また、妊婦試験においてCGM使用群は非使用群よりも、血糖目標値達成期間が有意に延長し(68% vs.61%、p=0.0034)、高血糖期間が有意に短縮した(27% vs.32%、p=0.0279)。また、重篤な高血糖エピソードが少なく(18件 vs.21件)、低血糖期間は短かった(3% vs.4%、p=0.10)。
さらにCGM使用群では、新生児健康アウトカムの有意な改善が認められた。LGA(large for gestational age)例は少なく(オッズ比:0.51、95%CI:0.28~0.90、p=0.0210)、24時間超NICU滞在例(0.48、0.26~0.86、p=0.0157)および新生児低血糖例も少なく(0.45、0.22~0.89、p=0.0250)、総入院期間は1日短かった(p=0.0091)。
一方、CGMの有益性について、妊娠計画女性試験の参加者では見当たらなかった。
有害事象の発現は、妊婦試験ではCGM使用群51例(48%)、非使用群43例(40%)であり、妊娠計画女性試験ではそれぞれ12例(27%)、21例(37%)であった。重篤有害事象の発現は、妊婦試験で13例(6%)(CGM使用群8例[7%]、非使用群5例[5%])、妊娠計画女性試験で3例(3%)(各群2例[4%]、1例[2%])報告された。
最も頻度の高かった有害事象は皮膚反応であり、妊婦試験ではCGM使用群49/103例(48%)、非使用群8/104例(8%)、妊娠計画女性試験ではそれぞれ23/52例(44%)、5/57例(9%)報告された。最も頻度の高かった重篤有害事象は消化器系で認められた(悪心および嘔吐が、妊婦試験で4例、妊娠計画女性試験で3例)。
(ケアネット)