悪性胸水への胸腔カテーテル留置とタルク胸膜癒着術に有意差/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2017/12/05

 

 悪性胸水を有する患者に対し、胸腔カテーテル留置法はタルク胸膜癒着術と比べて、治療から死亡に至る間の入院日数を有意に短縮するが、両者の差は臨床的に意義のあるものではないことが、オーストラリア・サー・チャールズ・ゲアードナー病院のRajesh Thomas氏らによる非盲検無作為化試験「AMPLE試験」の結果、示された。胸腔カテーテル留置法とタルク胸膜癒着術は、悪性胸水を有する予後不良の患者の治療として確立している。著者は、「今回の結果は、患者が悪性胸水の治療法を選択するのに役立つ情報となるだろう」と述べている。JAMA誌2017年11月21日号掲載の報告。

胸腔カテーテル留置法とタルク胸膜癒着術に無作為に割り付け

 研究グループは、悪性胸水を呈した患者の残された時間において、胸腔カテーテル留置法がタルク胸膜癒着術よりも、病院で過ごす時間を減らせるかについて検討した。

 2012年7月~2014年10月に、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、香港の9施設で、症候性の悪性胸水を有する患者を登録して行われた。被験者を無作為に1対1の割合で、胸腔カテーテル留置法を受ける群またはタルク胸膜癒着術を受ける群に割り付け、悪性腫瘍(中皮腫 vs.その他)、trapped lungの認否で最小化し、試験地域(オーストラリア vs.アジア)による層別化も行った。フォローアップ期間は12ヵ月であった(最終フォローアップは2015年10月16日)。

 主要エンドポイントは、処置から死亡に至るまで、または12ヵ月時点までに病院で過ごした全日数。副次アウトカムは、胸膜ドレナージの介入追加、患者が申告した呼吸困難、EQ-5D質問票スコアやVASスコアなどで測定したQOLの程度、有害事象などであった。

胸腔カテーテル留置法群とタルク胸膜癒着術群に有意差

 146例(年齢中央値70.5歳、男性56.2%)が無作為化を受けたが、intention-to-treat解析には、介入前に離脱した両群1例ずつを除外した144例(胸腔カテーテル留置法群73例、タルク胸膜癒着術群71例)が包含された。右肺に施術を受けたのは胸腔カテーテル留置法群59%、タルク胸膜癒着術群53%、中皮腫が原因であった患者は各群27%、25%、Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)スコア0~2は72%、74%など、両群のベースライン特性は良好に適合していた。

 病院で過ごした全日数は、胸腔カテーテル留置法群が中央値10日(IQR:3~17)、タルク胸膜癒着術群が同12日(同:7~21)で、統計的有意差が認められた(推定差:2.92日、95%信頼区間[CI]:0.43~5.84、p=0.03)。その要因は主に、悪性胸水に関連した入院日数の有意差にあり、胸腔カテーテル留置法群1日(IQR:1~3日)、タルク胸膜癒着術群4日(同:3~6)で、両群のHodges-Lehmann(HL)法による推定差は2.06日(同:1.53~2.58)であった(p<0.001)。また、同側胸膜ドレナージの実施も、胸腔カテーテル留置法群(4.1%)がタルク胸膜癒着術群(22.5%)よりも有意に少なかった(率差:0.18、95%CI:0.08~0.29、p=0.001)。

 息苦しさやQOLについて、群間の有意差は認められなかった。有害事象は両群ともに認められ、胸腔カテーテル留置法群22例(30%)で30件、タルク胸膜癒着術群13例(18%)で23件が報告された。

(ケアネット)