再発性クロストリジウム・ディフィシル感染症(RCDI)に対する糞便微生物移植(FMT)の経口カプセルによる実施は、大腸内視鏡で行うFMTに対して再発予防効果は非劣性であることが示された。また、経口カプセルFMTは大腸内視鏡FMTに比べて、患者の不快感も少なかった。カナダ・アルバータ大学のDina Kao氏らが、116例の患者を対象に行った非盲検無作為化非劣性試験で明らかにしたもので、JAMA誌2017年11月28日号で発表した。これまでFMTについて、送達ルートの違いにより臨床的効果が異なるのかは不明であった。
各FMT実施12週間後のRCDI予防効果を比較
研究グループは、2014年10月~2016年9月にかけて、カナダ・アルバータ州の3つの大学病院で、RCDI患者116例を対象に試験を開始し、経口カプセルFMTの大腸内視鏡FMTに対する非劣性を検証した。非劣性マージンは15%とした。
主要アウトカムは、FMT実施12週間後のRCDI非発生患者の割合だった。副次アウトカムは、(1)重度および軽度有害事象の発生率、(2)健康関連QOL(生活の質)36項目調査票(SF-36)スコア(0[QOLが最悪]~100[QOLが最良])、(3)患者評価に基づく不快感(10段階評価で1[まったく不快ではない]~10[きわめて不快])と満足感(1[最良]~10[最悪])だった。
RCDI予防率は両群ともに約96%
被験者116例(カプセル群57例、大腸内視鏡群59例)は、平均年齢58[SD 19]歳、女性が68%を占めた。試験を完了したのは105例(91%)だった。
per-protocol解析の結果、1回のFMT実施で12週後にRCDIを予防できたのは、カプセル群51/53例、大腸内視鏡群50/52例で、両群ともに達成率は96.2%で、カプセル群の大腸内視鏡群に対する非劣性が示された(群間差:0%、片側95%信頼区間[CI]:-6.1~無限大、p<0.001)。
軽度有害事象の発生率は、大腸内視鏡群12.5%に対しカプセル群は5.4%だった。また、不快感に関する患者評価で「まったく不快ではない」と回答した人の割合は、大腸内視鏡群44%に対しカプセル群は66%と有意に高率だった(群間差:22%、95%CI:3~40、p=0.01)。
著者は、「経口カプセルFMTは、RCDI治療の効果的なアプローチ法と思われる」とまとめている。
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(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)