米国の胎児性アルコール・スペクトラム障害の有病率は?/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2018/02/20

 

 胎児性アルコール・スペクトラム障害(fetal alcohol spectrum disorders:FASD)の有病率は、米国の古いデータでは小児1,000人当たり10人とされるが、大規模かつ多様なサンプルに基づく最近のデータはないという。そこで、ノースカロライナ大学チャペルヒル校のPhilip A. May氏らは、国内4地域の小学1年生におけるFASDの推定有病率について検討した。JAMA誌2018年2月6日号掲載の報告。

active case ascertainment法でFASDを評価、有病率を推定
 本研究は、米国の4地域(ロッキーマウンテン、中西部、南東部、太平洋岸南西部)におけるFASD(胎児性アルコール症候群、部分的胎児性アルコール症候群、アルコール関連神経発達障害)の有病率を推定する横断的研究である(国立アルコール乱用・依存症研究所[NIAAA]の助成による)。

 2010~16年の期間に、小学1年生の小児と、その両親または保護者が登録され、active case ascertainment法を用いて小児におけるFASDの検討を行った。FASDに寄与する4領域(形態異常の特性、身体発育、神経行動発達、出生前のアルコール曝露)について系統的に評価した。

 主要アウトカムは4地域のFASD有病率であり、小学1年生人口を母集団として、控えめに見積もられたFASDの有病率の推定値と95%信頼区間(CI)を算出した。

少なくとも小児1,000人当たり11.3~50.0人と推定
 1万3,146人の小学1年生(男児:51.9%、平均年齢:6.7歳[SD 0.41]、白人の母親:79.3%)の集団のうち、6,639人が参加者として選出された。

 222人のFASD児が同定された。FASDの有病率は、少なくとも小児1,000人当たり11.3(95%CI:7.8~15.8)~50.0(95%CI:39.9~61.7)人の範囲と推定された。また、すべての項目が評価された小児のみのデータによる、加重推定有病率は、小児1,000人当たり31.1(95%CI:16.1~54.0)~98.5(95%CI:57.5~139.5)人であった。

 著者は、「これらの知見は、以前の研究に比べ正確な推定有病率を表している可能性はあるものの、あらゆる地域への一般化はできないだろう」としている。

(医学ライター 菅野 守)