軽症~中等症の高血圧症患者において、低用量3剤配合降圧薬による治療は通常ケアと比較して、目標血圧を達成した患者の割合が有意に高かったことが、オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のRuth Webster氏らによる無作為化試験の結果、示された。著者は「低用量3剤配合を第一選択としたり、単剤治療と置き換えたりすることは、血圧コントロールを改善する有効な方法となる可能性がある」とまとめている。コントロール不良の高血圧症は世界的な公衆衛生上の問題となっており、新たな治療戦略が求められている。JAMA誌2018年8月14日号掲載の報告。
テルミサルタン20mg/アムロジピン2.5mg/chlorthalidone 12.5mgの配合剤
研究グループは、低用量3剤配合降圧薬治療が通常ケアと比べて、より良好な血圧コントロールを達成するかを、無作為化非盲検試験にて検討した。被験者は、収縮期血圧>140mmHgおよび/または拡張期血圧>90mmHgの成人、および糖尿病/CKDで>130mmHgおよび/または>80mmHgの成人で、降圧治療の開始が必要(未治療)または漸増治療が必要(単剤療法を受けている)な患者とした。登録は、2016年2月~2017年5月までスリランカの11の市中病院で行われ、フォローアップは2017年10月に終了した。
被験者は、1日1回、固定用量の3剤配合降圧薬(テルミサルタン20mg量、アムロジピン2.5mg量、chlorthalidone 12.5mg量)治療を受ける群(349例)、通常ケア群(351例)に無作為に割り付けられた。
主要評価項目は、6ヵ月時点の目標収縮期/拡張期血圧(140/90mmHg未満、または糖尿病/CKD患者は130/80mmHg未満)を達成した患者割合とした。副次評価項目は、フォローアップ中の平均収縮期/拡張期血圧の差、有害事象による降圧治療の中断などであった。
6ヵ月後の目標血圧達成患者、70% vs.55%
無作為化された患者700例(平均年齢56歳、男性42%、糖尿病29%、平均収縮期/拡張期血圧154/90mmHg)のうち、675例(96%)が試験を完了した。
6ヵ月時点の評価で、3剤配合降圧薬群の目標血圧達成割合は、通常ケア群に比べて有意に高かった(70% vs.55%、リスク差:12.7%[95%信頼区間[CI]:3.2~22.0]、p<0.001)。
また、6ヵ月時の平均収縮期/拡張期血圧は、3剤配合降圧薬群125/76mmHgに対し、通常ケア群134/81mmHgであった。フォローアップ中の無作為化後の血圧の補正後差は、収縮期血圧-9.8mmHg(95%CI:-7.9~-11.6)、拡張期血圧-5.0mmHg(-3.9~-6.1であった(いずれもp<0.001)。
有害事象は全体で、被験者255例(3剤配合降圧薬群38.1% vs.通常ケア群34.8%)で419件が報告された。最も多く共通して認められたのは、筋骨格系疼痛(それぞれ6.0%、8.0%)、めまい、意識障害(presyncope)、失神(5.2%、2.8%)であった。有害事象のため治療中止となった患者の割合は両群間で有意な差はなかった(6.6% vs.6.8%)。
(ケアネット)