気胸の入院発生が増加、疫学的特性は?/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2018/10/18

 

 英国において1968~2016年に自然気胸で入院治療を受けた患者の推移を調べた結果、有意な増加が認められ、患者の約6割が慢性肺疾患を有しているといった特徴が明らかにされた。英国・オックスフォード大学Hospitals NHS Foundation TrustのRob J. Hallifax氏らによる住民ベース疫学研究の結果で、JAMA誌2018年10月9日号で発表された。自然気胸は頻度の高い疾患であり、独特の疫学的プロファイルを有するが、住民ベースのデータは限定的であった。

英国1968~2016年の入院データで発生率および再発入院について分析

 研究グループは、英国の大規模で長期にわたる入院データセットを用いて、自然気胸の入院発生率、および再発率、動向を推算する住民ベース疫学研究を行った。1968~2016年の全国データセットと地方データセットから、15歳以上の患者の入院記録を使用した(最終データの日付は2016年12月31日)。

 暦年の自然気胸による入院および再入院に関する記録を調べ、自然気胸の入院の発生率と再発率を主要アウトカムとして評価した(再発は、自然気胸の入院が2回目以降の場合と定義)。各人の重複入院と併存疾患についてはレコードリンケージにより特定し、累積time-to-failure解析法とCox比例ハザード回帰法を用いて、5年追跡調査における再発のリスク因子評価を行った。

再発について「性差」はみられず、「年齢」「慢性肺疾患あり」が複合的に影響

 1968~2016年の自然気胸の入院発生は17万929例であった(年齢中央値44歳[IQR:26~88]、男性73.0%)。15歳以上10万人当たりの同発生は、1968年は9.1例(95%信頼区間[CI]:8.1~10.1)であったが、2016年は14.1例(95%CI:13.7~14.4)で、早い時期と比べると有意に増加していた。15歳以上10万人当たりの集団発生率は、男性(20.8、95%CI:20.2~21.4)が女性(7.6、7.2~7.9)よりも有意に高率であった。

 自然気胸を呈した患者の60.8%(95%CI:59.5~62.0)が、慢性肺疾患を有していた。

 レコードリンケージ解析により、全体的な入院の増加は一部の再発入院の増加による可能性が示されたが、たとえば65歳以上の女性(1968年から2016年の年率変化4.08[95%CI:3.33~4.82]、p<0.001)など、有意な初発の年率増加が認められた集団もあった。

 5年以内に再発する確率は、男女で同等であったが(男性25.5%[95%CI:25.1~25.9] vs.女性26.0%[25.3~26.7])、年齢および慢性肺疾患の有無による影響でばらつきが認められた。たとえば、15~34歳・慢性肺疾患あり・男性の集団が5年以内に再発する確率は39.2%(95%CI:37.7~40.7)、これに対して65歳以上・慢性肺疾患なし・男性では19.6%(18.2~21.1)であった。