活動性の乾癬性関節炎の治療に、選択的JAK1阻害薬filgotinibは有効であることが、米国・ワシントン大学のPhilip Mease氏らによる第II相の無作為化プラセボ対照試験「EQUATOR試験」の結果、示された。16週時のACR20達成患者は80%に認められ、新たな安全性シグナルは認められなかった。JAK1経路は、乾癬性関節炎の病因への関わりが示唆されている。研究グループは、JAK1を選択的に阻害するfilgotinibの有効性と安全性を調べた。Lancet誌オンライン版2018年10月22日号掲載の報告。
活動性の中等症~重症乾癬性関節炎患者が対象、16週時点のACR20達成を評価
EQUATOR試験は、7ヵ国(ベルギー、ブルガリア、チェコ、エストニア、ポーランド、スペイン、ウクライナ)25施設において成人(18歳以上)の患者を登録して行われた。試験適格は、活動性の中等症~重症乾癬性関節炎(関節の腫脹5つ以上および圧痛関節5つ以上がある場合と定義)で乾癬性関節炎の層別化基準「CASPAR」を満たしており、活動性の慢性尋常性乾癬もしくはその既往の記録があり、1種以上の従来型抗リウマチ薬(csDMARD)による効果が不十分あるいは不耐容の患者とした。対象患者のうち、少なくともスクリーニング前12週間にcsDMARDの投与が1回あり、少なくともベースライン前4週間に安定投与が1回あった場合は、試験期間中も引き続きcsDMARDが投与された。
研究グループは双方向ウェブベースシステムを用いて、対象患者を1対1の割合で、filgotinib 200mgまたはプラセボを1日1回16週間経口投与するよう無作為に割り付けた。csDMARDの現在の投与および抗TNFの既投与による層別化も行った。なお、患者、試験チーム、スポンサーは治療割り付けをマスキングされた。
主要評価項目は、完全解析集団(試験薬を1回以上投与した全患者を包含)における16週時点のACR20達成患者の割合で、Cochran-Mantel-Haenszel検定およびNRI(non-responder imputation)法を用いて両群を比較した。
filgotinib群80%、プラセボ群33%
2017年3月9日~9月27日に191例がスクリーニングを受け、131例が無作為化され(filgotinib群65例、プラセボ群66例)、それぞれ60例(92%)、64例(97%)が試験を完了した。filgotinib群では5例(8%)、プラセボ群では2例(3%)が試験治療中断となった。
16週時点のACR20達成率は、filgotinib群80%(52/65例)、プラセボ群33%(22/66例)であった(群間差:47%、95%信頼区間[CI]:30.2~59.6、p<0.0001)。
少なくとも1件以上の治療関連有害事象が認められたのは、filgotinib群37例(57%)、プラセボ群39例(59%)であった。被験者6例でGrade3以上のイベントが認められた。最も頻度が高かったイベントは、鼻咽頭炎と頭痛で、発現頻度は各群で同程度であった。重篤な治療関連有害事象は、各群で1例ずつ認められた(肺炎および転倒後の大腿骨頸部骨折)。肺炎はfilgotinib群で認められ致死的であった。
(ケアネット)