中等度~きわめて重度の慢性閉塞性肺疾患(COPD)で、頻回の中等度または重度の増悪既往がある好酸球数220個/m3以上の患者において、抗インターロイキン-5受容体αモノクローナル抗体benralizumabのアドオン療法は、プラセボと比較してCOPD増悪の年率頻度を減少しないことが示された。米国・テンプル大学のGerard J. Criner氏らが、それぞれ1,000例超のCOPD患者を対象にした2つの第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「GALATHEA試験」と「TERRANOVA試験」の結果を、NEJM誌2019年5月20日号で発表した。
benralizumab 10~100mgを投与
GALATHEA試験とTERRANOVA試験では、臨床ガイドラインにのっとった吸入治療を受けているが頻繁に増悪を有するCOPD患者、それぞれ1,656例、2,254例を対象に試験を行った。好酸球数(220/m
3以上 vs.220/m
3未満)に基づく被験者比率は約2対1で、220/m
3以上の被験者はそれぞれ1,120例、1,545例だった。
GALATHEA試験では被験者を無作為に3群に分け、benralizumab 30mg、同100mg、プラセボをそれぞれ投与した。TERRANOVA試験では、被験者を無作為に4群に分け、benralizumab 10mg、同30mg、同100mg、プラセボをそれぞれ投与した。投与は、初回から3回目までは4週ごと、その後は8週ごとに行った。
主要エンドポイントは、被験者のうちベースライン時の好酸球数220/m
3以上群の、56週時点におけるCOPD増悪率比だった。
COPD増悪率、benralizumab群で減少せず
GALATHEA試験、TERRANOVA試験ともに、benralizumab群のプラセボ群に対するCOPD増悪率に有意差はなかった。
GALATHEA試験では、COPD増悪率はbenralizumab 30mg群が年率1.19(95%信頼区間[CI]:1.04~1.36)、100mg群1.03(同:0.90~1.19)、プラセボ群1.24(同:1.08~1.42)だった。対プラセボ群のCOPD増悪率比は、30mg群が0.96(p=0.65)、100mg群が0.83(p=0.05)と、有意差はなかった。
TERRANOVA試験でも、COPD増悪率は、benralizumab 10mg群が年率0.99(95%CI:0.87~1.13)、30mg群1.21(同:1.08~1.37)、100mg群1.09(同:0.96~1.23)で、プラセボ群1.17(同:1.04~1.32)だった。対プラセボ群のCOPD増悪率比は、それぞれ0.85(p=0.06)、1.04(p=0.66)、0.93(p=0.40)と、有意差はなかった。
なお、有害事象のタイプおよび頻度についても、benralizumab群とプラセボ群は類似していた。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)