習慣的に飲酒をしている心房細動患者が断酒をすることで、不整脈の再発が減少したことが、オーストラリア・アルフレッド病院のAleksandr Voskoboinik氏らが、140例を対象とした多施設共同前向き非盲検無作為化比較試験の結果、示された。これまで、過剰な飲酒が心房細動の新規発症や有害な心房リモデリングと関連することは知られていたが、断酒による心房細動2次予防への効果は明らかにされていなかったという。NEJM誌2020年1月2日号掲載の報告。
週に10ドリンク(純アルコール量約12g/杯)以上のAF患者を対象に試験
研究グループは、オーストラリアの6病院を通じて、週当たりの標準飲酒量が10ドリンク(純アルコール量約12g/杯)以上で、発作性または持続性心房細動があり、ベースラインで洞調律だった成人患者140例を対象に試験を行った。
被験者を1対1の割合で無作為に2群に分け、一方の群は断酒を行い(断酒群、70例)、もう一方の群は通常どおり飲酒を続けた(対照群、70例)。
主要エンドポイントは、追跡期間6ヵ月間での心房細動の無再発期間(当初2週間はブランキング期間とし、その間の発作は再発と見なさない)と、心房細動の総負荷(心房細動発作状態の時間の割合)の2点だった。
心房細動再発リスク、断酒群で約45%減
被験者140例は、85%が男性、平均(±SD)年齢は62±9歳だった。
断酒群の飲酒量は、試験前の週平均16.8±7.7ドリンクから、週平均2.1±3.7ドリンクへと87.5%減少したのに対し、対照群では試験前の週平均16.4±6.9ドリンクから週平均13.2±6.5ドリンクへと、19.5%の減少だった。
2週間のブランキング期間後、心房細動の再発が、対照群では70例中51例(73%)認められたのに対し、断酒群では70例中37例(53%)だった。断酒群は、再発までの期間も長かった(ハザード比:0.55、95%信頼区間:0.36~0.84、p=0.005)。
追跡期間中の心房細動の総負荷についても、心房細動発作状態の時間の割合の中央値が対照群では1.2%(四分位範囲:0.0~10.3)だったのに対し、断酒群は0.5%(同:0.0~3.0)と有意に低率だった(p=0.01)。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)