AIDS関連カポジ肉腫、有病率が高い地域での最適治療は?/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2020/03/23

 

 資源が限られた地域における進行性AIDS関連カポジ肉腫に対する最適な治療戦略は「パクリタキセル+抗レトロウイルス療法(ART)」であることが、米国・AIDS Malignancy ConsortiumのSusan E. Krown氏らによる無作為化非盲検非劣性試験の結果、示された。非劣性の証明は事前に設定したマージンではできなかったが、「経口エトポシド+ART」および「ブレオマイシン+ビンクリスチン+ART」の両治療に対して優越性が示されたという。AIDS関連カポジ肉腫は、HIV患者の頻度の高い併存疾患および死亡の原因であるが、疾患頻度が最も高い低所得および中所得国では最適な治療レジメンについて系統的な評価がされていなかった。Lancet誌オンライン版2020年3月5日号掲載の報告。

ブラジル、ケニアなど6ヵ国で3群を比較する無作為化非盲検非劣性試験を実施

 研究グループは、AIDS臨床試験グループ(AIDS Clinical Trials Group)に参加しているブラジル、ケニア、マラウイ、南アフリカ共和国、ウガンダおよびジンバブエの11施設において、進行期AIDS関連カポジ肉腫を有するHIV患者を登録し、適格患者をART(エファビレンツ+テノホビル+エムトリシタビン併用)に加えて、ブレオマイシン+ビンクリスチン静脈投与、またはエトポシド経口投与を受ける治療群(介入群)、またはパクリタキセル静脈投与を受ける治療群(対照群)のいずれかに1対1対1の割合で無作為に割り付けた。

 主要評価項目は48週時での無増悪生存期間(PFS)で、対照群と介入群を比較する非劣性マージンは15%とした。安全性は、治療を受けた全例で評価した。

非劣性は証明できず、安全性への懸念から試験は早期中止

 2013年10月1日~2018年3月8日に334例が登録された。なお、エトポシド+ART群への登録は、劣性に関するデータ安全性モニタリング委員会(DSMB)の勧告に従って2016年3月に中止され、ブレオマイシン+ビンクリスチン+ART群への登録も劣性が明らかのため中止が勧告され、2018年3月8日に早期試験終了となった。

 48週PFS率は、対照のパクリタキセル+ART群が、両介入群と比較して高かった。

 48週PFS率の絶対差は、パクリタキセル+ART群(48週PFS率50%[95%CI:32~67]、59例)とエトポシド+ART群(20%[6~33]、59例)の比較で-30%(95%CI:-52~-8)であり、パクリタキセル+ART群(48週PFS率64%[95%CI:55~73]、138例)とブレオマイシン+ビンクリスチン+ART群(44%[35~53]、132例)との比較で-20%(95%CI:-33~-7)であった。両比較での95%CIが非劣性マージンをオーバーラップしていたため、非劣性は証明できなかった。

 安全性解析(対象症例329例)における主な有害事象は、好中球減少(48例、15%)、血清アルブミン低下(33例、10%)、体重減少(29例、9%)、貧血(28例、9%)で、治療群間の発現頻度は同程度であった。

(医学ライター 吉尾 幸恵)