電子タバコやベイピング製品使用に関連する肺傷害(EVALI)による致死症例および非致死症例について全米調査を行ったところ、致死症例は非致死症例に比べ、喘息や心疾患、精神疾患の併存割合が高いことが明らかになったという。米国疾病管理予防センター(CDC)のAngela K. Werner氏らが報告した。2020年1月7日時点でCDCに報告されたEVALI入院患者の非致死症例は2,558例、致死症例は60例であるという。NEJM誌2020年4月23日号掲載の報告。
臨床現場でのハイリスク患者の同定能向上を目的に調査
研究グループは、2020年1月7日時点でCDCに報告のあった致死・非致死EVALI入院患者について、解析を行った。臨床現場におけるハイリスク患者の同定能の向上を目的とした検討で、致死症例と非致死症例の患者の特徴を比較した。
各州の保健当局は2019年8月から、CDCにEVALI症例の報告を行っており、可能な限り、患者の医療記録データや聞き取り調査の内容も併せて入手し解析に反映した。また、EVALIで死亡した3例の患者について、共通する臨床的特徴を明らかにする検討も行った。
致死症例の過半数が肥満症
EVALI患者の多くが男性で、その割合は致死症例では53%(32/60例)、非致死症例では67%(1,666/2,498例)だった。人種・民族別に見ると、致死・非致死症例ともに非ヒスパニック系白人の割合が高く、それぞれ80%(39/49例)、61%(1,104/1,818例)だった。35歳以上の患者の割合は、致死症例では73%(44/60例)と高く、非致死症例では22%(551/2,514例)と低かった。
病歴が入手可能だった患者において、喘息罹患者の割合は致死症例で23%(13/57例)に対し非致死症例では8%(102/1,297例)であり、心疾患はそれぞれ47%(26/55例)、10%(115/1,169例)、精神疾患は65%(32/49例)、41%(575/1,398例)と、いずれも致死症例で高率だった。
致死症例の52%(26/50例)に肥満症が認められた。また、致死症例の46%(25/54例)が、入院・死亡前に外来受診歴があった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)