導入補助化学放射線療法後に食道がん/食道胃接合部がんを切除した患者において、術後補助療法としてのニボルマブはプラセボと比較して無病生存(DFS)期間を有意に延長した。米国・ベイラー医科大学医療センターのRonan J. Kelly氏らが、第III相の国際共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験「CheckMate 577試験」の結果を報告した。食道がん/食道胃接合部がんに対し術前補助化学放射線療法および手術を行っても、再発リスクが高いままの患者に対する術後補助療法は確立されていなかった。NEJM誌2021年4月1日号掲載の報告。
術後補助療法としてのニボルマブの有効性を評価
研究グループは、術前補助化学放射線療法を受け病理学的完全奏効が得られずR0切除を行ったステージII/IIIの食道がん/食道胃接合部がん患者を、ニボルマブ群(240mgを2週ごと16週間、その後480mgを4週ごと投与)またはプラセボ群に2対1の割合で無作為に割り付け、再発または忍容できない毒性が認められるまで、あるいは患者が同意を撤回するまで、最長1年間、投与を継続した。
主要評価項目はDFS期間、副次評価項目は全生存(OS)期間であった。
2016年7月~2019年8月までの期間に、29ヵ国の170施設で794例がニボルマブ群(532例)またはプラセボ群(262例)に割り付けられた。
ニボルマブによりDFS期間が有意に延長
追跡調査期間中央値24.4ヵ月(クリニカルカットオフ日2020年5月12日)において、DFS期間中央値はニボルマブ群22.4ヵ月(95%信頼区間[CI]:16.6~34.0)に対し、プラセボ群11.0ヵ月(8.3~14.3)であった(ハザード比:0.69、96.4%CI:0.56~0.86、p<0.001)。事前に規定したDFS期間のサブグループ解析の結果、ニボルマブはすべてのサブグループにおいて一貫して良好な結果であった。
治験責任医師によって治験薬に関連すると判断されたGrade3/4の有害事象は、ニボルマブ群で532例中71例(13%)、プラセボ群で260例中15例(6%)に認められた。治験薬に関連する有害事象により投与中止となったのは、ニボルマブ群9%、プラセボ群3%であった。
(医学ライター 吉尾 幸恵)