再発/難治性前駆B細胞急性リンパ性白血病(ALL)の患者に対する、自家抗CD19 CAR-T細胞療法「KTE-X19」の有効性と安全性を検討した第II相国際多施設共同非盲検単群試験「ZUMA-3試験」の結果を、米国・モーフィットがんセンターのBijal D. Shah氏らが報告した。完全寛解率または血液学的回復が不十分な完全寛解率は高率で、奏効した患者における全生存(OS)期間中央値は未到達であり、安全性プロファイルは管理可能であったという。新たな治療法や自家造血幹細胞移植(allo-SCT)の治療にもかかわらず、再発/難治性前駆B細胞ALL患者の転帰は依然として不良であり、より効果的な治療の開発が求められている。著者は、「今回の試験結果は、KTE-X19はそれらの患者に長期的な臨床的ベネフィットをもたらす可能性があることを示すものであった」とまとめている。Lancet誌オンライン版2021年6月3日号掲載の報告。
米国・カナダ・欧州25施設で行われたZUMA-3試験
ZUMA-3試験の被験者は、米国、カナダおよび欧州の25施設で登録され、18歳以上、ECOG 0/1、骨髄芽球5%超の再発/難治性前駆B細胞ALL患者が適格とされた。被験者は白血球除去療法および前処置化学療法を受けた後、KTE-X19の単回注入(1×10
6 CAR-T細胞/kg体重)を受けた。
主要評価項目は、中央評価による完全寛解(CR)率および血液学的回復が不十分な完全寛解(Cri)率であった。副次評価項目は、寛解期間(DOR)、無再発生存(RFS)期間、OS、微小残存病変(MRD)陰性率、allo-SCTを受けた患者の割合などであった。
有効性および安全性の解析は、治療を受けた患者集団を対象に行われた。
主要評価項目達成は71%、奏効患者のOSは未到達
2018年10月1日~2019年10月9日の期間に、71例が登録され、白血球除去療法を受けた。KTE-X19の作製に成功したのは65例(92%)で、55例(77%)が投与を受けた。治療を受けた患者の年齢中央値は40歳(IQR:28~52)、追跡期間中央値は16.4ヵ月(13.8~19.6)であった。
CRまたは血液学的回復が不十分なCriを達成した患者は39例(71%、95%信頼区間[CI]:57~82、p<0.0001)であった。うちCR達成患者は31例(56%)であった。
DOR中央値は、12.8ヵ月(95%CI:8.7~評価不能[NE])であり、RFSは11.6ヵ月(2.7~15.5)、OS期間は18.2ヵ月(15.9~NE)であった。
奏効した患者において、OS中央値は未到達であり、38例(97%)がMRD陰性であった。KTE-X19投与後にallo-SCTを受けた患者は10例(18%)だった。
Grade3以上で最も頻度の高い有害事象は、貧血27例(49%)、発熱20例(36%)であった。Grade3以上の感染症を呈した患者は14例(25%)報告された。Grade5のKTE-X19関連事象は2例(脳ヘルニア、敗血性ショック)報告された。Grade3以上のサイトカイン放出症候群(CRS)は13例(24%)、Grade3以上の神経学的イベントは14例(25%)報告された。
(ケアネット)