心筋梗塞後6ヵ月以内の、アスピリン、ramipril、アトルバスタチンを含むポリピル治療は通常ケアと比べて、主要有害心血管イベント(MACE)リスクの有意な低下に結び付いたことが、スペイン・Centro Nacional de Investigaciones Cardiovasculares(CNIC)のJose M. Castellano氏らによる第III相無作為化試験「SECURE試験」で示された。転帰を改善する主要な薬剤(アスピリン、ACE阻害薬およびスタチン)を含むポリピルは、心筋梗塞後の2次予防(心血管死や合併症の予防)のための、簡易な手法として提案されている。結果を踏まえて著者は、「ポリピルは、治療を簡素化し入手可能性を改善するもので、治療のアクセシビリティとアドヒアランスを改善するために広く適用可能な戦略であり、結果として心血管疾患の再発および死亡リスクを低下するものである」とまとめている。NEJM誌2022年9月15日号掲載の報告。
アスピリン、ramipril、アトルバスタチンを含むポリピル治療について検討
SECURE試験は、スペイン、イタリア、フランス、ドイツ、ポーランド、チェコ、ハンガリーの113施設で行われ、直近6ヵ月以内に心筋梗塞を有した75歳以上(リスク因子を1つ以上有する65歳以上)の患者を、ポリピルベースの治療戦略群または通常ケア群に無作為に割り付け追跡評価した。
ポリピル治療は、アスピリン(100mg)、ramipril(2.5mg、5mgまたは10mg)、アトルバスタチン(20mgまたは40mg)で構成された。
主要アウトカムは、心血管死、非致死的1型心筋梗塞、非致死的虚血性脳卒中、血行再建術施行の複合。主な副次エンドポイントは、心血管死、非致死的1型心筋梗塞、非致死的虚血性脳卒中の複合であった。
追跡期間中央値36ヵ月のMACE発生ハザード比は0.76で有意差
2016年8月~2019年12月に、計4,003例がスクリーニングを受け、適格患者と認められた2,499例が無作為化を受けた。指標となる心筋梗塞から無作為化までの期間中央値は8日(IQR:3~37)であった。ポリピル群21例、通常ケア群12例のフォローアップデータが得られず、intention-to-treat(ITT)集団は2,466例(ポリピル群1,237例、通常ケア群1,229例)で構成された。平均年齢は76.0±6.6歳、女性の割合は31.0%、77.9%が高血圧症を、57.4%が糖尿病を有し、51.3%に喫煙歴があった。平均収縮期血圧は129.1±17.7mmHg、平均LDLコレステロール値は89.2±37.2mg/dLであった。
追跡期間中央値36ヵ月時点で、主要アウトカムのイベント発生は、ポリピル群118/1,237例(9.5%)、通常ケア群156/1,229例(12.7%)が報告された(ハザード比[HR]:0.76、95%信頼区間[CI]:0.60~0.96、p=0.02)。
主な副次アウトカムの発生は、ポリピル群101例(8.2%)、通常ケア群144例(11.7%)が報告された(HR:0.70、95%CI:0.54~0.90、p=0.005)。
これらの結果は、事前規定のサブグループで一貫していた。
患者の自己報告による服薬アドヒアランスは、通常ケア群よりもポリピル群で高かった。有害事象の発現頻度は両群で同程度であった。
(ケアネット)