4回目接種後、高齢者の入院予防効果はどれだけ上がるか/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2022/10/14

 

 中等症~重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するmRNAワクチンの有効性は、3回目接種後に経時的に低下したが、4回目接種が推奨されたほとんどのサブグループで追加ブースター接種により改善することが、米国疾病予防管理センター(CDC)のJill M. Ferdinands氏らが実施した検査陰性デザインによる症例対照研究で示された。COVID-19のBNT162b2(ファイザー製)/mRNA-1273(モデルナ製)ワクチンは、有効性が経時的に低下し追加接種で上昇することが臨床研究で示唆されているが、この傾向が年齢、免疫不全状態、ワクチンの種類や接種回数でどのように変化するかは不明であった。今回の結果を受けて著者は、「3回目ワクチン接種の推奨と追加ブースター接種の検討が推奨される」とまとめている。BMJ誌2022年10月3日号掲載の報告。

約89万人を対象とした検査陰性デザインによる症例対照研究

 研究グループは、2021年1月17日~2022年7月12日の期間に、VISIONネットワークに参加している米国10州の病院261施設、272の救急診療部(ED)または救急診療所(UCC)119施設に入院または受診した、COVID-19様疾患のためSARS-CoV-2検査を受けた18歳以上の成人89万3,461例について解析した。

 主要評価項目は、BNT162b2またはmRNA-1273ワクチンの有効性の低下であった。オミクロン変異株流行期、デルタ変異株流行期およびデルタ変異株流行前の期間に分け、暦週と地理的地域を条件とし、年齢、人種、民族、地域のウイルス循環、免疫不全状態、ワクチン接種について調整したロジスティック回帰モデルで推定した。

オミクロン株流行期の有効性、3回目接種後<2ヵ月が最も高く4~5ヵ月後には低下

 病院に入院したCOVID-19症例4万5,903例とSARS-CoV-2検査陰性のCOVID-19様疾患21万3,103例(対照)を、ED/UCCを受診したCOVID-19症例10万3,287例とSARS-CoV-2検査陰性のCOVID-19様疾患53万1,168例を比較した。

 オミクロン株流行期において、病院に入院を要するCOVID-19に対するワクチンの有効性は、3回目接種後<2ヵ月では89%(95%信頼区間[CI]:88~90)であったが、4~5ヵ月後には66%(63~68)に低下した。また、COVID-19によるED/UCC受診に対するワクチンの有効性は、3回目接種後<2ヵ月で83%(82~84)であったが、4~5ヵ月後には46%(44~49)に低下した。

 ワクチンの有効性の低下は、若年や免疫不全状態ではない集団などすべてのサブグループで認められたが、免疫不全状態の集団でより顕著であった。

 ブースター接種が推奨されるほとんどの集団において、4回目接種後にワクチンの有効性は増加した。65歳以上における入院に対する有効性は、3回目接種後8ヵ月以上で45%であったのが、4回目接種後2ヵ月で76%に増加した。

(医学ライター 吉尾 幸恵)