米国では2022年の当初半年間における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンのブースター接種者は、オミクロン変異株関連のCOVID-19の入院について、プライマリシリーズのみ接種者を上回るベネフィットを得ていたことが、米国疾病予防管理センター(CDC)のKatherine Adams氏らによる検査陰性デザイン・ケースコントロール試験の結果、示された。ブースター接種が推奨される中で、オミクロン変異株は2021年12月26日時点でSARS-CoV-2の優勢な変異株となっており、ブースター接種の有効性に関するデータ提示が必要とされていた。BMJ誌2022年10月11日号掲載の報告。
オミクロン株優勢時の入院患者対象にケースコントロール試験
研究グループは、2021年12月26日~2022年6月30日の新型コロナウイルス・オミクロン変異株が優勢だった期間に、米国内18州の21病院を通じて、急性呼吸器症状で入院した成人4,760例を対象にケースコントロール試験を行った。被験者のうち2,385例(50.1%)がCOVID-19の検査確定例(ケース群)で、2,375例(49.9%)が検査陰性のSARS-CoV-2例(コントロール群)だった。
主要なアウトカムは、コロナワクチンのプライマリ+ブースター接種者とプライマリシリーズのみ接種者のCOVID-19関連入院に関する有効性。ケース群vs.コントロール群において、それぞれのレジメンでワクチンを受けた場合とワクチン未接種の場合のオッズ比を比較しワクチンの有効性を評価した。ワクチン有効性の解析は、免疫状態(免疫能正常、免疫不全)で層別化した。主要解析は、すべての種類のコロナワクチンの組み合わせで評価し、副次解析は特定のワクチンについて評価した。
免疫状態を問わず、ブースターで対COVID-19関連入院の有効性増大
全被験者4,760例の年齢中央値は64歳(四分位範囲[IQR]:52~75)で、994例(20.8%)が免疫不全だった。プライマリシリーズ+ブースター2回接種者が85例(1.8%)、プライマリシリーズ+ブースター1回接種者が1,367例(28.7%)、プライマリシリーズのみ接種者が1,875例(39.3%)、ワクチン未接種者が1,433例(30.1%)だった。
免疫能正常群において、オミクロン変異株関連COVID-19入院の予防に関するワクチンの有効性は、プライマリシリーズ+ブースター2回接種群が63%(95%信頼区間[CI]:37~78)、プライマリシリーズ+ブースター1回接種群が65%(58~71)、プライマリシリーズのみ接種群が37%(25~47)だった(プライマリシリーズのみ接種群と比較したブースターレジメンプール群のp<0.001)。
ワクチンの有効性は、ワクチンの種類別にみてもプライマリシリーズのみ接種群よりもプライマリシリーズ+ブースター接種群で高かった。BNT162b2(ファイザー製)での有効性は、ブースター2回接種群73%(95%CI:44~87)、ブースター1回接種群64%(55~72)、プライマリシリーズのみ接種群36%(21~48)だった(p<0.001)。mRNA-1273(モデルナ製)でも、それぞれ、68%(17~88)、65%(55~73)、41%(25~54)だった(p=0.001)。
免疫不全群においても、ワクチン有効性はプライマリシリーズ+ブースター1回接種群が69%(95%CI:31~86)、プライマリシリーズのみ接種群が49%(30~63)で有意差が認められた(p=0.04)。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)