中国・高血圧の診断と治療、農村と都市での乖離が存続/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2023/01/24

 

 中国では、高血圧の有病率は2010年以降にわずかに減少しているが、治療およびコントロールの割合は依然として低い状態にとどまり、農村部と都市部の乖離も存続していることが、中国・疾病管理予防センターのMei Zhang氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2023年1月11日号で報告された。

2004~18年の6回の調査データを解析

 研究グループは、中国における高血圧の有病率と疾病管理の最近の傾向を評価する目的で、6回の全国調査データの解析を行った(中国国家重点研究開発計画の助成を受けた)。

 解析には、China Chronic Disease and Risk Factor Surveillance(CCDRFS)の2004~18年のデータが用いられた。対象は、成人(年齢18~69歳)の地域住民64万2,523人で、6回の調査人数の内訳は2004年が3万501人、2007年が4万7,353人、2010年が9万491人、2013年が15万6,836人、2015年が16万2,293人、2018年が15万5,049人であった。

 高血圧は、血圧≧140/90mmHgまたは降圧薬の服用と定義された。

 主要アウトカムは、高血圧の有病率、高血圧を自覚している人々、高血圧治療を受けている人々、血圧が<140/90mmHgにコントロールされている人々の割合であった。

9割近くが血圧コントロール不良

 中国の年齢18~69歳の成人における高血圧の標準化有病率は、2004年の20.8%(95%信頼区間[CI]:19.0~22.5)から、2010年には29.6%(27.8~31.3)へと上昇したが、その後は低下して2018年には24.7%(23.2~26.1)となった。

 2010~18年の、高血圧の年間有病率低下は、女性が男性の2倍以上で大きかった(女性:-0.83ポイント[95%CI:-1.13~-0.52]vs.男性:-0.40ポイント[-0.73~-0.07])。

 2004年以降、高血圧の病識率、受療率、コントロール達成率にはわずかな改善がみられたが、2018年の時点で依然として低い状態で、それぞれ38.3%(95%CI:36.3~40.4)、34.6%(32.6~36.7)、12.0%(10.6~13.4%)であった。

 2018年に、年齢18~69歳の成人のうち2億7,400万人(95%CI:2億3,800万~3億1,100万)が高血圧を有しており、このうち2億4,000万人(95%CI:2億1,500万~2億6,400万)がコントロール不良と推定された。

 すべての調査で、女性は高学歴者に比べ低学歴者で高血圧の有病率が高かったが、男性では学歴の高低による一定の傾向はみられなかった。また、高血圧の診断とコントロールは、都市部に比べ農村部でより改善されていたが、都市部と農村部には依然として高血圧コントロールに関する乖離(農村部で不良)が存続していた。

 著者は、「これらの知見は、プライマリケアの強化を通じて、高血圧の発見と治療法の改善を進める必要があり、とくに農村部での強化の必要性を強調するものである」と指摘している。

(医学ライター 菅野 守)