複数の食物アレルギーを持つ1歳以上の若年者において、抗IgEモノクローナル抗体オマリズマブの16週投与は、ピーナッツやその他の一般的な食物アレルゲンに対するアレルギー反応の閾値の上昇に関して、プラセボよりも優れていることが示された。米国・ジョンズ・ホプキンス大学のRobert A. Wood氏らが、180例を対象に行った無作為化比較試験の結果を報告した。米国では小児の最大8%、成人の最大10%が食物アレルギーを有し、その多く(30~86%)が複数の食物アレルギーを有しているという。一方で、唯一承認されている治療法は、ピーナッツアレルギーに対する経口免疫療法であった。NEJM誌2024年2月25日号掲載の報告。
ピーナッツほか2つ以上の食物アレルギーがある患者を対象にプラセボ対照試験
本試験で研究グループは、オマリズマブが複数の食物アレルギーを有する患者に対する単剤療法として、有効かつ安全であるかどうかを評価した。被験者は、ピーナッツとその他の少なくとも2つ以上の試験指定食物(カシューナッツ、牛乳、卵、クルミ、小麦、ヘーゼルナッツ)にアレルギーを持つ1~55歳で、食物負荷試験でピーナッツ蛋白100mg以下、その他2つの食物は300mg以下の摂取でアレルギー反応を呈する患者を包含した。
被験者を2対1の割合で無作為化し、オマリズマブまたはプラセボを2~4週に1回16~20週間、体重とIgE値に基づく用量で皮下投与した。その後、負荷試験を再度行った。
主要エンドポイントは、ピーナッツ蛋白を1回600mg以上、用量制限を要する症状なしに摂取することとした。重要な副次エンドポイントは3つで、カシューナッツ、牛乳、卵をそれぞれ1回1,000mg以上、用量制限を要する症状なしに摂取することとした。
この第1段階の評価を完了した最初の60例(うち59例が小児または思春期児)は、24週間の非盲検延長試験に登録された。
主要エンドポイント達成、オマリズマブ群67% vs.プラセボ群7%
462例がスクリーニングを受け、180例が無作為化された。解析には、小児・思春期児(1~17歳)177例が含まれた。
主要エンドポイントを達成したのは、オマリズマブ群79/118例(67%)、プラセボ群4/59例(7%)だった(p<0.001)。
重要な副次エンドポイントの結果も主要エンドポイントの結果と一致しており、カシューナッツ摂取ではオマリズマブ群41% vs.プラセボ群3%、牛乳はそれぞれ66% vs.10%、卵は67% vs.0%だった(すべての比較でp<0.001)。
安全性のエンドポイントは、オマリズマブ群がプラセボ群に比べ注射部位反応が多かったことを除き、群間差は認められなかった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)