米国の現行の高血圧治療ガイドライン(JNC 7)では、ハイリスクの高血圧患者に対してサイアザイド系利尿剤を含んだ併用療法を用いることを推奨しているが、最適な併用治療は十分に検討されていなかった。国際的な多施設共同試験ACCOMPLISHは、ACE阻害薬「ベナゼプリル」+ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬「アムロジピン」と、「ベナゼプリル」+サイアザイド系利尿薬「ヒドロクロロチアジド」とを比較したもので、ACE阻害薬+Ca拮抗薬併用療法のほうが、心血管イベントの減少効果が優れていることを報告した。NEJM誌2008年12月4日号より。
アメリカ、北欧の計5ヵ国548施設から1万強が参加
ACCOMPLISH(Avoiding Cardiovascular Events through Combination Therapy in Patients Living with Systolic Hypertension)試験は多施設共同無作為化二重盲検試験で、アメリカ、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランドの5ヵ国548施設から参加した、心血管イベントリスクが高い高血圧患者1万1,506例(2003年10月登録開始)を、ベナゼプリル+アムロジピン併用療法群(Ca拮抗薬併用群)とベナゼプリル+ヒドロクロロチアジド併用療法群(利尿薬併用群)に割り付け行われた。
両群の患者基線値は同等。試験は、追跡平均36ヵ月時点で、事前規定の試験有効性の中止基準を上回ったため早期に終了された。
Ca拮抗薬併用群のイベント発生は利尿薬併用群の2割減
平均血圧は、Ca拮抗薬併用群で131.6/73.3 mmHg、利尿薬併用群で132.5/74.4 mmHgで、目標血圧(140/90 mmHg以下)は前者75.4%、後者72.4%の達成率だった。
主要なアウトカムイベント(心血管系を原因とする死亡、心筋梗塞、脳卒中、狭心症による入院、突然の心停止後に蘇生、冠動脈血行再建)は、Ca拮抗薬併用群では552件(9.6%)だったが、利尿薬併用群では679件(11.8%)発生し、Ca拮抗薬併用群のイベント発生は利尿薬併用群の0.80倍(95%信頼区間:0.72~0.90、P<0.001)だった(相対リスク減少率19.6%)。
副次評価項目(心血管系を原因とする死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)については、Ca拮抗薬併用群では288件(5.0%)、利尿薬併用群では364件(6.3%)で、Ca拮抗薬併用群のイベント発生は0.79倍(95%信頼区間:0.67~0.92、P=0.002)だった(相対リスク減少率21.2%)。
有害事象の割合は、試験薬を用いた臨床経験で観察された値と一致し整合性がとれていた。
(武藤まき:医療ライター)