せん妄を有する高齢入院患者の死亡リスクは高い!

提供元:ケアネット

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公開日:2012/09/19

 

 高齢者が罹患する一般的な精神疾患には、せん妄、認知症、うつ病があり、これらは死亡率と関係している。Tsai氏らはせん妄、認知症、うつ病を伴う高齢患者の1年間の死亡率を評価した。Psychosomatics誌2012年9月号の報告。

 対象は、2002~2006年に精神科のコンサルテーションを受けた65歳以上の一般病院入院高齢患者614名のうち、せん妄患者172名、認知症患者92名、うつ病患者165名。3群間の死亡率はlog-rank検定により比較した。死亡率の関連する可能性のある要因の識別にはロジスティック回帰分析が用いられた。

主な結果は以下のとおり。

・せん妄患者群における1年間の死亡率はうつ病患者群に比べ有意に高かったが(p=0.048)、せん妄群と認知症群、または認知症群とうつ病群との間には有意差が認められなかった(p=0.206、p=0.676)。
・うつ病群において男性患者は女性患者より死亡率が高かった(p=0.003)。せん妄、認知症群では男女間で差がなかった。
・すべての患者における1年間の死亡率は、高齢(p<0.001)および入院期間(p<0.001)と有意に関連していたが、性別、複数の身体合併症の併発との関連は認められなかった。

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(ケアネット 鷹野 敦夫)