食道アカラシアに対する内視鏡的筋層切開術(POEM)はバルーン拡張術より優れている(解説:上村直実氏)-1100
下部食道の良性狭窄により食物の通過障害、嘔吐、胸痛、誤嚥性肺炎などを生じる疾患である食道アカラシアの原因は下部食道のアウエルバッハ神経叢の変性消失と考えられている。治療法として薬物療法、内視鏡的バルーン拡張術、ボツリヌス菌毒素局注療法、外科的治療として腹腔鏡下Heller手術などが行われていたが、2008年に経口内視鏡を用いて食道の筋層切開を行い、食道アカラシアの狭窄を改善する内視鏡的筋層切開術が現日本消化器内視鏡学会理事長である井上晴洋氏により開発された。その後、2012年から先進医療として施行された後、2016年に保険収載され、手術例数はわが国で2,000例以上、世界中では3,000例に達している。