血中トランス脂肪酸と認知症リスク~久山町研究 トランス脂肪酸と認知症との関連はよくわかっていない。九州大学の本田 貴紀氏らは、トランス脂肪酸の客観的バイオマーカーである血清エライジン酸(trans 18:1 n-9)レベルと認知症やそのサブタイプとの関連をプロスペクティブに調査した。Neurology誌オンライン版2019年10月23日号の報告。 対象は、2002~03年にスクリーニング検査を受け、2012年11月までフォローアップ(期間中央値:10.3年、四分位範囲:7.2~10.4)を行った、認知症でない60歳以上の日本人高齢者1,628人。血清エライジン酸レベルは、ガスクロマトグラフィー質量分析法を用いて測定し、四分位に分類した。血清エライジン酸レベルとすべての原因による認知症、アルツハイマー病(AD)、血管性認知症のハザード比を推定するために、Cox比例ハザードモデルを用いた。
C型肝炎ウイルスの薬剤耐性変異、世界規模で検証 直接作用型抗ウイルス治療薬(DAA)の登場により、C型肝炎の治療は大幅に改善された。しかしその治療奏効率は、C型肝炎ウイルス(HCV)の薬剤耐性変異により低下する可能性がある。現在、DAAにはNS3/4Aプロテアーゼ阻害薬、NS5A阻害薬、NS5Bポリメラーゼ阻害薬があり、それぞれグレカプレビル、ピブレンタスビル、ソホスブビルなどが臨床で使用されている。今回、それらに対する耐性変異について、世界的状況を中国・復旦大学のZhenqiu Liu氏らがメタ解析により検討した。その結果、114個の耐性変異を同定し、頻度や種類は日本、米国、ドイツ、タイ、英国で多いことを示した。Clinical Gastroenterology and Hepatology誌オンライン版2019年11月1日号掲載の報告。
早く治療すれば怖くないHIV感染症 ギリアド・サイエンシズ会社は、12月1日の「世界エイズデー」を前に都内でメディアセミナーを開催した。セミナーでは、2020年の東京オリンピックを控え、性感染症のアウトブレイクへの備えについて講演が行われた。 なお、12月1日より日本で販売されている抗HIV薬テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(商品名:ビリアード)、エムトリシタビン(同:エムトリバ)など6品目の製造販売承認は鳥居薬品株式会社から同社が承継する。
うつ病患者の睡眠障害と自殺との関係~メタ解析 これまで、睡眠障害と自殺との潜在的な関連は、いくつかのレビューにより検証されてきた。中国・中南大学のXiaofen Wang氏らは、うつ病患者における睡眠障害と自殺との全体的な関連性を推定し、より具体的な関連因子を特定するため、メタ解析を実施した。BMC Psychiatry誌2019年10月17日号の報告。 PubMed、EMBASE、Cochrane Libraryより、2019年1月1日までに公表された、うつ病患者の睡眠障害と自殺との関連を報告した研究をシステマティックに検索した。オッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を用いて、アウトカムを測定した。
病院「再編統合」時代の一歩先を行く医療経営を考えるシンポ開催ー東京大 9月に公表された、病院「再編・統合」リストは日本中に衝撃を与えた。どのような基準・根拠でリストは作られ、「実名公表」に踏み切られたのか? 各地の医療ステークホルダーはどう受け止め、対応すべきか? 今後の地域医療の制度経営はどのように展開すべきか? これらの課題をめぐって徹底議論するべく、東京大学「経営のできる大学病院幹部養成プログラム」は、12月4日に特別公開シンポジウムを開催する。シンポジストには、厚生労働省「地域医療構想に関するワーキンググループ」の座長を務めた尾形 裕也氏ほか、地域医療施策に携わる実務者や医療提供体制を分析しているアカデミアを迎え、講演やパネルディスカッションが行われる。
乳がん家族歴による検診開始年齢を検討/JAMA Oncol 乳がん検診ガイドラインでは、リスクの高い女性は早期検診が必要としているが、乳がんの家族歴のある女性に対する指針は限られている。今回、ドイツ・German Cancer Research Center(DKFZ)のTrasias Mukama氏らが、500万人以上の女性が含まれるスウェーデンの全国的コホート研究で、家族歴ごとのリスクに相当する乳がん検診の開始年齢を検討した。JAMA Oncology誌オンライン版2019年11月14日号に掲載。 本研究はSwedish family-cancer data setを用いて、少なくとも1人の第1度近親者がいる、1932年以降に生まれたすべての女性(509万9,172人)を対象とした。1958年1月1日~2015年12月31日のデータを収集し、2017年10月1日~2019年3月31日に分析した。第1度および第2度近親者における乳がんの家族歴、浸潤性乳がん罹患について調査し、一般集団における40歳・45歳・50歳での10年累積罹患率に達する年齢を家族歴ごとに評価した。
点滴誤投与と不適切な蘇生処置による患者死亡を公表/京大病院 京都大学医学部附属病院は19日、腎機能障害のある入院男性(年齢非公表)に対し、造影CT検査の前処置として点滴投与を行う際、本来投与すべき薬剤の高濃度の同一成分製剤を誤って投与したうえ、男性が心停止を来した際に行った蘇生処置にもミスが重なったことにより、6日後に死亡させたと発表した。病院側は、医薬品取り違え対策としてシステム改修を実施するなどの再発防止策を講じたという。宮本 享病院長らが19日に記者会見を開き、「薬剤の誤った処方による死亡という、期待を裏切るような結果になり、誠に申し訳なく、心よりお詫び申し上げる」と謝罪した。
ポリフェノールは死亡率も下げるか~高山スタディ 日本人はコーヒーや緑茶から多くポリフェノールを摂取している。ポリフェノール摂取による健康ベネフィットは疫学研究で示されているが、日本人における死亡率との関連は報告されていない。今回、お茶の水女子大学の田口 千恵氏らが高山コホート研究で調査したところ、食事によるポリフェノール総摂取量が全死亡率、心血管疾患および消化器疾患による死亡率と逆相関することが示された。European Journal of Nutrition誌オンライン版2019年11月15日号に掲載。
間質性肺炎合併NSCLCに対するカルボプラチン+nabパクリタキセルの成績 間質性肺疾患(ILD)を合併する非小細胞肺がん(NSCLC)の予後は不良であり、また、肺がん治療によりILD悪化のリスクが高まる。とくに、化学療法を受けた患者の5~20%でILDが増悪するとされる。静岡県立静岡がんセンターの釼持 広知氏らは、ILDを合併したNSCLC患者に対するカルボプラチン+nabパクリタキセルの効果と安全性を評価する多施設第II相試験を実施、その結果が発表された。Cancer Science誌オンライン版2019年10月13日号掲載の報告。
成人ADHDにおける金銭的意思決定 成人期の注意欠如多動症(ADHD)は、金銭的意思決定(financial decision-making:FDM)を含む日常生活において、さまざまな問題と関連している。しかし、成人ADHDのFDMに関する研究は限られており、標準化された客観的手法で検討されたことは、これまでなかった。オランダ・フローニンゲン大学のDorien F. Bangma氏らは、主観的および標準化された客観的尺度の両方を用いて、成人ADHDのFDM能力について調査を行った。Neuropsychology誌2019年11月号の報告。
インフルエンザ予防の新知見、養命酒の含有成分が有効か クロモジエキスを配合した、あめの摂取によるインフルエンザ予防効果が示唆された―。養命酒製造株式会社(以下、養命酒)と愛媛大学医学部附属病院抗加齢・予防医療センターの共同研究グループは、2017/2018シーズンに実施した「クロモジエキス配合あめ」のインフルエンザ予防効果に関する二重盲検試験を実施。風邪症状(発熱、喉・鼻症状)の有無や有症日数についても同時に解析を行った結果、クロモジエキス配合あめ摂取群がプラセボあめ摂取群と比較して、インフルエンザ感染患者の抑制ならびに風邪症状の有症期間を有意に短縮した。
急性期全般不安症に対する第1選択薬の有効性、受容性比較~メタ解析 全般性不安症(GAD)の第1選択薬としては、SSRIやSNRIがガイドラインで推奨されている。中国・西安交通大学のHairong He氏らは、これら第1選択薬の有効性、受容性を比較するため、ネットワークメタ解析を用いて、エビデンスのアップデートを行った。Journal of Psychiatric Research誌2019年11月号の報告。 成人GADの急性期治療に使用された11種類の薬剤のプラセボ対照および直接比較試験について、1980~2019年1月1日のエビデンスを電子データベースより検索した。各研究より、人口統計、臨床、治療に関するデータを抽出した。主要アウトカムは、有効性(ハミルトン不安尺度の合計スコアのベースラインからの変化)および受容性(すべての原因による治療中止)とした。
「代謝的に健康な肥満者」の特徴と予想されるリスク 「代謝的に健康な肥満者」については不明な点が多く、意見が分かれている。今回、スウェーデン・スコーネ大学のJohan Korduner氏らが調査したところ、「代謝的に健康な肥満者」は「代謝的に不健康な肥満者」に比べて身体活動度が高く、脂質および血糖プロファイルが良好で、約20年の追跡調査での全死亡および心血管(CV)リスクが低かった。また、非肥満者と比べると全死亡およびCVリスクに有意差がみられなかった。Obesity Research & Clinical Practice誌オンライン版2019年11月8日号に掲載。
アトピー児の皮膚生検にテープストリッピング法が有用 早発性アトピー性皮膚炎(AD)児の皮膚生検を低侵襲で行える再現性ある手法として、テープストリッピング法が有用であることが示された。米国・マウントサイナイ医科大学のEmma Guttman-Yassky氏らによる検討で、小児ADの病変もしくは非病変の皮膚バイオマーカーとなり、治療反応の追跡や将来的な経過、並存疾患の予測に有用である可能性が示された。AD表現型の評価には皮膚生検の分子プロファイリングが標準であるが、皮膚生検は小児にとって常に適しているとは限らない。縦断研究や臨床試験で皮膚疾患を追跡評価できる、再現性ある低侵襲のアプローチが不足していた。JAMA Dermatology誌オンライン版2019年10月9日号掲載の報告。
統合失調症、双極性障害、うつ病患者における抗精神病薬切り替え治療の影響 米国・Analysis GroupのRajeev Ayyagari氏らは、統合失調症、双極性障害、うつ病患者における、抗精神病薬の切り替えと再発および医療資源利用との関連について評価を行った。Journal of Medical Economics誌オンライン版2019年10月30日号の報告。 6年にわたる米国6州のメディケイド請求データより、抗精神病薬の切り替えと非切り替えの比較について、レトロスペクティブに分析を行った。ベースライン時に統合失調症、双極性障害、うつ病と診断されたすべての患者および1つ以上の錐体外路症状(EPS)が認められた患者について、現疾患の再発、他の精神疾患の再発、すべての原因による救急受診、すべての原因による入院、EPS診断までの期間を分析した。
全国でインフルエンザ流行期入り、昨年より1ヵ月早く 厚生労働省は15日、全国的なインフルエンザの流行シーズンに入ったと発表した。前年比で4週間早いシーズン入りで、現在の統計法で調査を始めた1999年以降では2番目に早い。 国立感染症研究所が15日付でまとめた、2019年第45週(11月4~10日)の感染症発生動向調査において、インフルエンザの定点当たり報告数が 1.03(定点数:全国約5,000 ヵ所、報告数:5,084)となり、流行開始の目安となる 1.00を上回った。
若い女性の座っている時間とうつ病との関連 身体活動(PA)の不足や長時間の座りっ放し(sitting time:ST)は、死亡率やうつ病などの慢性疾患リスクの増加と関連している。2つのリスクは独立しているともいわれているが、それらの連合効果や層別効果はよくわかっていない。オーストラリア・クイーンズランド工科大学のT. G. Pavey氏らは、若年女性におけるうつ症状のリスクと12年間に及ぶPAやSTの複合効果について調査を行った。Journal of Science and Medicine in Sport誌2019年10月号の報告。
HIF-PH阻害薬vadadustatの腎性貧血に対する国内第III相試験結果/米国腎臓学会 今年ノーベル生理学・医学賞を受賞した「低酸素応答の仕組みの解明」の研究を基に、各社で低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬の開発が進められている。その1つであるvadadustat(MT-6548)は、田辺三菱製薬がアケビア社から導入した1日1回経口投与のHIF-PH阻害薬で、今年7月に腎性貧血を適応症として厚生労働省に承認申請している。今月、ワシントンで開催された米国腎臓学会腎臓週間(11月5~10日)で、本剤の保存期および血液透析期の腎性貧血患者に対する国内第III相臨床試験の結果が発表された。
小細胞肺がん、PARP阻害薬veliparibの追加でPFS改善/JCO 小細胞肺がん(SCLC)に対して、化学療法へのPARP阻害薬veliparib追加の有効性が確認された。veliparibは、非臨床試験で標準化学療法の効果を増強することが示されており、米国・エモリー大学のTaofeek K. Owonikoko氏らは、未治療の進展型SCLC(ES-SCLC)患者を対象に第II相無作為化臨床試験を行った。その結果、シスプラチン+エトポシド(CE)へのveliparib追加併用療法により、無増悪生存(PFS)期間が有意に延長したことが示されたという。Journal of Clinical Oncology誌2019年1月20日号掲載の報告。
医師300人に聞いた!今季のインフルエンザ診療 ここ数年、過去最大規模の流行を繰り返すインフルエンザだが、今年は早くも流行が始まっている。現場での診療方針はどのような傾向にあるのだろうか。ケアネットでは先月、会員医師を対象に「今シーズンのインフルエンザ診療について」のアンケートを行い、325人から回答を得た。 アンケートでは、早期流行の実感、迅速診断キットの使用頻度、抗インフルエンザウイルス薬の処方頻度、外来での抗インフルエンザ薬の選択について答えていただいた。