日本人はコーヒーや緑茶から多くポリフェノールを摂取している。ポリフェノール摂取による健康ベネフィットは疫学研究で示されているが、日本人における死亡率との関連は報告されていない。今回、お茶の水女子大学の田口 千恵氏らが高山コホート研究で調査したところ、食事によるポリフェノール総摂取量が全死亡率、心血管疾患および消化器疾患による死亡率と逆相関することが示された。European Journal of Nutrition誌オンライン版2019年11月15日号に掲載。
本研究の対象は高山市の住民2万9,079人。食事摂取量は、1992年に半定量的食物摂取頻度調査票(Food Frequency Questionnaire:FFQ)を用いて評価し、その後16年間における死亡率を調べた。食事によるポリフェノール摂取量は、食物摂取データを独自のポリフェノール含有データベースと照合し計算した。
主な結果は以下のとおり。
・追跡期間中に合計5,339人が死亡した。
・多変量調整後、ポリフェノール総摂取量の最高四分位群を最低四分位群と比較すると、全死亡率が有意に低かった(ハザード比:0.93、95%信頼区間:0.82~0.99、傾向のp=0.003)。
・ポリフェノール総摂取量の最高四分位群は、最低四分位群に比べ心血管疾患による死亡率が有意に低く、なかでも脳卒中死亡率で強い逆相関が認められた。ほかの原因、とくに消化器疾患による死亡率でも逆相関が認められた。
・一方、ポリフェノール総摂取量とがん死亡リスクに有意な関連はみられなかった。
(ケアネット 金沢 浩子)