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学校でのワクチン接種プログラムに対し、多くの開業医が自院経営面への影響を懸念

米国・CDC公衆衛生予防サービス部門のMcCormick EV氏らは、学校で行われる青年期ワクチン(思春期ワクチン)およびインフルエンザワクチンの接種に対する医師の考え方について調査を行った。コロラド州の開業医1,337人を対象とした調査の結果、大半の医師が学校でのワクチン接種を支持する一方で、診療所経営への影響について懸念を抱いていることが明らかとなった。著者は、「医師の民間保険加入者への接種に対する支持が少なく、受診児の減少と収入への影響が障壁となっていることが示されたが、さらなる調査が必要である」とまとめている。Pediatrics誌オンライン版2012年10月1日号の掲載報告。

口腔粘膜の固定薬疹、鑑別診断で考慮すべきことは?

 口腔粘膜の固定薬疹(FDE)の特性については、ほとんど知られていない。トルコ・イスタンブール大学のOzkaya E氏は、臨床的に注目すべきポイントおよび鑑別診断を提示するため後ろ向き断面研究を行った。その結果、主要所見として口腔内局所のアフタ性病変や重度の水疱性/びらん性病変と、残存性色素沈着の欠如は、鑑別診断を難しくする可能性があると述べた。そのうえで、女性患者における月経困難に関連した非ステロイド性抗炎症薬による口腔内FDEと、月経が引き起こす単純ヘルペス感染症によるもの、およびベーチェット病由来の局所のorogenitalなアフタFDAとを区別することが、とくに疾患頻度の高い国では不適切な治療を避けるために重要であると結論した。J Am Acad Dermatol誌オンライン版2012年10月5日号の掲載報告。

乾癬の発生率、赤道から遠く離れるほど高い?

世界的な乾癬の発生率および有病率は、十分には明らかとなっていない。英国・マンチェスター大学のParisi R氏らは、住民ベースで検討された文献を適格としたシステマティックレビューを行った。その結果、年齢や地域によって格差があることなどが明らかとなった。著者は、乾癬の発生率と有病率を調べることで疾病負荷への理解を深めることができたと述べるとともに、さらなる乾癬疫学や時間経過に伴う発生率の傾向などの理解を深め、既存の知見とのギャップを埋める必要があると指摘している。J Invest Dermatol誌2012年9月27日号の掲載報告。

慢性腰痛症患者の年間医療費、非慢性腰痛症患者の倍

慢性腰痛症の治療と関連医療費について後ろ向きに検証した結果、診察費や処方薬といった直接的なコストだけでも、患者にとって相当な経済的負担があることが明らかにされた。慢性腰痛症は一般的な健康問題である。英国・ロンドン大学経済社会科学部のHong J氏らが、GPリサーチデータベース(GPRD)から、慢性腰痛症の治療に関連する12ヵ月分の医療費を分析し報告した。Spine誌オンライン版2012年10月2日号の掲載報告。

HATCH scoreは、カテーテルアブレーション後の心房細動再発の独立した予測因子とはなりえない

HATCH scoreは、カテーテルアブレーション後の心房細動再発の予測因子とはなりえないことが示された。HATCH scoreは、発作性心房細動の持続性への進展予測因子として知られている。今回の研究では、HATCH scoreがカテーテルアブレーション後の再発を予測する因子となるか検討された。中国のTang RB氏らによる報告(Chin Med J誌2012年10月号掲載)。

バイポーラの躁症状に対するアリピプラゾールの位置付けは?

近年、わが国では双極性障害に適応を有する薬剤が次々と承認されている。従来、気分安定薬を中心とした薬剤が主流であったが、非定型抗精神病薬も使用可能となった。双極性障害患者の急性躁症状に対し、明確な薬理学的および副作用プロファイルを有するアリピプラゾールをどのように使用すべきだろうか。英国のDratcu氏らは、双極性障害患者の急性躁症状に対し、アリピプラゾールの豊富な使用経験を有する英国の医療専門家による委員会にて議論を行った。Int J Psychiatry Clin Pract誌2012年10月号の報告。

慢性腰痛症への鍼治療、プラセボと比較し症状および疼痛強度を改善

鍼治療の慢性腰痛症への効果について、シャム対照治療との比較の結果、症状スコアおよび疼痛強度の低下がみられ、より良好な効果を示すことが示唆されたと、韓国・キョンヒ大学校のCho YJ氏らが報告した。鍼治療は慢性腰痛症に効果的な治療として知られているが、プラセボより優れているかについては依然として不明なままであった。Spine誌オンライン版2012年9月28日号の掲載報告。

小児臨床試験の潮流、感染症/ワクチン試験が23%と最も多くを占める

臨床試験はエビデンスベースの医学情報を生み出すゴールドスタンダードである。米国では近年の法律制定により、ClinicalTrials.govへの臨床試験登録が義務化され、これまでは不可能であった臨床試験計画の全体的な評価が可能になった。そこで米国・デューク大学医学校のPasquali SK氏らは、小児臨床試験のポートフォリオを明らかにするため、ClinicalTrials.govを解析した。著者は、「今回の解析結果は、小児臨床試験実施の判断情報としてステークホルダーに役立つものとなるであろう。また、小児保健を改善するための試験のあり方(インフラや方法論)を前進させる上でも役立つ可能性がある」と結論している。Pediatrics誌オンライン版2012年10月1日号の掲載報告。

『ボストン便り』(第42回)「神奈川県不活化ポリオワクチン政策の顛末」

 星槎大学共生科学部教授 ハーバード公衆衛生大学院リサーチ・フェロー 細田 満和子(ほそだ みわこ) 2012年10月17日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 ※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。 紹介:ボストンはアメリカ東北部マサチューセッツ州の州都で、建国の地としての伝統を感じさせるとともに、革新的でラディカルな側面を持ち合わせている独特な街です。また、近郊も含めると単科・総合大学が100校くらいあり、世界中から研究者が集まってきています。そんなボストンから、保健医療や生活に関する話題をお届けします。

妊娠前の身体活動と母乳育児が、乳児の体重増加・肥満に及ぼす影響

カナダのChu氏らによって、母親の身体活動やスクリーン視聴時間(テレビやPC、ゲームなどで画面に向かう時間)、および乳児栄養の方法が出生児の体重増加と肥満に及ぼす影響について検討が行われた。その結果、母親の妊娠前の身体活動と完全母乳育児期間は、乳児の1年時点での体重増加ならびに肥満と関連がみられた。Int J Endocrinol誌2012年9月26日掲載。

「ワクチンをためらう親」に特徴的な因子とは?

 米国では「ワクチンをためらう親(vaccine-hesitant parents:VHPs)」が増えており、その多くは、MMRワクチンの接種控えという形で表出しているという。米国・ミシガン大学のGowda C氏らは、MMRワクチンに対する親の懸念の比重が、ためらいの程度によって異なるのか探索的研究を行った。その結果、親のワクチンに対する特有の懸念には、「ワクチン接種意向」に基づく多様な特徴があると報告。今後の啓発プログラムでは、そうした懸念を持つ親のためらいの程度に応じて、メッセージを修正していくべきであると提言した。Hum Vaccin Immunother誌オンライン版2012年10月2日号の掲載報告。

統合失調症患者におけるフィルター障害のメカニズムを解明

 統合失調症における作業記憶(ワーキングメモリ)障害について、前頭前皮質背外側部(DLPFC)ネットワーク内の機能的接続障害によるものであることが明らかにされた。米国・エール大学医学部のAnticevic A氏らが、いわゆる「フィルター障害」のメカニズムについて検討した結果で、「注意散漫への抵抗性障害は、DLPFCと周辺領域(視床/辺縁系の皮質下と調節領域結合を含む)の断絶を示すという考え方を支持する知見が得られた」と報告した。Schizophr Res誌2012年10月号の掲載報告。

現場で動ける医師を育てるために-南相馬市立総合病院 初期研修プログラムの可能性-

 亀田総合病院 卒後研修センター長 片多 史明 2012年10月11日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 ※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。 昨年3月11日の罹災以降、亀田総合病院と南相馬市立総合病院は、縁あって様々な領域での連携や人的交流を深めている。

双極Ⅰ型障害患者の症状発症に関連する“キヌレン酸”

 双極Ⅰ型障害患者の、脳脊髄液におけるキヌレン酸と躁症状および精神病症状との関連が明らかにされた。スウェーデン・ヨーテボリ大学のOlsson SK氏らによる検討の結果。著者らは、すでに先行研究において、統合失調症と双極性障害の患者における脳内のキヌレン酸レベル上昇が報告されていることに触れたうえで、「因果関係を検証する必要はあるが、ドパミン伝播と行動に影響するキヌレン酸の働きは、躁病や精神病症状の発症における病態生理学的な役割を示している可能性がある」と報告している。Bipolar Disord誌オンライン版2012年10月3日号の掲載報告。